キリン、規格外りんごを活用した「氷結」と「午後の紅茶」を発売、“モッタイナイ”テーマにフードロス削減と生産者支援へ、「食べチョク」と連携

「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」(左)と「氷結 mottainai ふじりんご」
「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」(左)と「氷結 mottainai ふじりんご」

キリンは、色づきの悪さ・サイズなどの理由で流通に乗らない“規格外りんご”を活用した新商品として、RTD「氷結 mottainai ふじりんご」(350ml缶・500ml缶)と「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」(400mlPET)を発売する。産直通販サイト「食べチョク」と連携し、フードロス削減と生産者支援につなげる取り組みを酒類と清涼飲料にまたいで展開する。

キリンビールは2024年に「氷結 mottainai」シリーズを開始し、規格外果実「モッタイナイ果実」をチューハイにして発売することで、果実のフードロス削減に取り組んでいた。そして、今年4月に企業横断プロジェクト「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」を立ち上げ、今回初めて「氷結」と「午後の紅茶」の2ブランドが同一テーマで協働する。

発表会ではキリンビール、キリンビバレッジ、ビビッドガーデン、りんごの生産者代表らが登壇
発表会ではキリンビール、キリンビバレッジ、ビビッドガーデン、りんごの生産者代表らが登壇

11月4日に発表会を行ったキリンビール執行役員マーケティング部長の今村恵三氏は、同プロジェクトの目標について、「2027年までに“モッタイナイ果実”の年間250トン削減と、プロジェクト参加者をお客様で1,200万人、生産者100軒を目指す。3社共同でフードロス削減、“モッタイナイ果実”の価値創造を図る」と話した。

今回使用するのは、長野県・青森県産のふじりんご。味の品質は高いものの、色づきの悪さや、サイズなどの理由によって、贈答用・一般流通に回せない果実が一定量発生する。「食べチョク」運営するビビッドガーデンは、「当社は全国に1万件以上の生産者ネットワークがあり、複数産地を束ねて安定供給できたことが今回の成功要因になっている」と説明する。

「氷結mottainai ふじりんご」は11月18日発売予定で、ふじりんご特有の甘みと酸味のバランスを生かした設計。約9.6トンの規格外果実を活用し、約21万ケース(350ml×24本換算)の販売、約480万円の生産者支援寄付を目指す。

一方、「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」は12月2日発売。紅茶のすっきり優しい飲み口と、フルーティーな香りと甘みが特徴のふじりんごを組み合わせたフルーツティー。パッケージでは、特設サイトへ遷移する二次元コードがあり、「食べチョク」との協働を訴求している。約3.9トンの規格外果実を活用し、約20万ケース(400ml×24本換算)の販売と480万円の寄付を計画する。なお、売り上げ1本につき1円を日本の農家支援に活用する。

「午後の紅茶」を担当するキリンビバレッジマーケティング部の原英嗣氏は以下のように話した。「“午後の紅茶”は、これまでスリランカの紅茶農家の支援や、災害被災地の復興を応援すべく当地の国産素材を使用した“for HAPPINESS”シリーズなど、社会貢献活動に取り組んできた。このたび“モッタイナイ果実”を使用した商品を発売するに至った。こちらはふじりんごの特徴であるフルーティな甘みが際立ち、紅茶の爽やかな余韻に包まれる味わいが特徴。同プロジェクトに参画することで、20歳以下も含めた若年層との接点を強化するほか、“モッタイナイ果実”に対する興味を高められるイベントの開催も予定している」。

また、農家を代表して出席した安曇野ファミリー農産の中村隆一専務取締役は、「ふじは贈答用として好まれる品種であるほか、晩生品種のため病害虫や台風などの影響も受けやすいため、他の品種に比べてどうしても規格外品が多くなってしまう。そのため今回プロジェクトに参加できるのは嬉しい。さらに“氷結”および“午後の紅茶”を通じて青果の消費のきっかけにしてもらえれば」と話した。

青森でりんご農園を営む農業法人RED APPLEの吉川和亨取締役は、「多くの方は果樹園が身近でない方が多いと思う。今回の“mottainai”を通じて、出荷できない果実が出てしまう現状を知ってもらうだけでも生産者としてはありがたいし、皆様に身近な商品として届くことも嬉しい。多くの方に楽しんでもらいたい」と語った。

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