ポッカサッポロ、自販機事業を会社分割、ライフドリンクカンパニーと提携し約4万台を移管

ポッカサッポロ社の飲料自販機
ポッカサッポロ社の飲料自販機

ポッカサッポロフード&ビバレッジは3月5日、自動販売機事業を会社分割(吸収分割)により切り出し、ライフドリンクカンパニーが設立する新会社へ承継することを決めたと発表した。効力発生日は2026年10月1日を予定する。

今回の分割では、同社グループが展開してきた自動販売機事業を対象とし、全国で約4万台規模の自動販売機網がライフドリンク社へ承継される見込み。自販機運営を担う子会社3社の株式も対象となり、「PSビバレッジ」「スタービバレッジサービス」「沖縄サンポッカ」が含まれる。

両社は同時に業務提携に向けた協議を開始した。事業承継後も一定期間、ポッカサッポロ社の商標を用いた自動販売機として同社商品の販売を継続する予定で、具体的な協業内容については今後検討する。

自動販売機市場は近年、原材料価格の上昇に伴う価格改定や消費者の節約志向を背景に需要が伸び悩む一方、機器保全コストの上昇や人材不足など課題も増えており、事業環境は厳しさを増している。飲料メーカーにとっては、自販機網の維持・運営が大きな負担となっており、今回の提携もこうした環境変化を背景としたものとみられる。

1970年代前半の「ホットorコールド缶飲料自販機」
1970年代前半の「ホットorコールド缶飲料自販機」

ポッカサッポロ社の前身であるポッカコーポレーションは1973年、冷却と加温の切り替えが可能な「ホットorコールド缶飲料自販機」を展開し、1年を通じて安定した販売を可能にした。現在ではクールジャパンの一例とも評される日本の自販機文化の形成に大きく貢献した企業として知られている。

一方で、自販機ビジネスを取り巻く環境は大きく変化している。飲料メーカー各社では近年、自販機事業の効率化や再編の動きが相次ぐ。伊藤園でも自販機事業を巡る再編が進むほか、ダイドーグループホールディングスは国内で稼働する自販機のうち約2万台を削減する方針を示した。日本自動販売システム機械工業会によれば、飲料自販機の台数は2014年末時点で約257万台だったが、2024年末には約220万台と減少している。

メーカー主導で拡大してきた日本の自販機ビジネスは転換期を迎えつつあり、今回のポッカサッポロ社の決断は、業界構造の変化を象徴する動きともいえそうだ。

同社はサッポログループの食品飲料事業を担う企業として事業ポートフォリオの見直しを進めており、今後は好調な販売を続けるレモン事業を軸に、スープや清涼飲料などのカテゴリーに経営資源を集中していく方針だ。