【セブン‐イレブン】カウンター商材で「出来立て」訴求、節約疲れの反動に高付加価値商品強化【2025年コンビニ動向 #3】
セブン‐イレブン・ジャパンは、人口減少、少子高齢化の進行、物価上昇及び消費の二極化等の経営環境下において、顧客の消費行動変化に対応すべく、取り組みを進めている。
2025年5月から阿久津知洋社長率いる新体制の下で「フレッシュフードの差別化」、「店舗ネットワークの強化」、「7NOWのお客様価値最大化」に加え、「お客様とのエンゲージメント強化」を重点施策として、客層の拡大と来店頻度の向上、および外部環境の影響を受けにくい経営構造への変革を目指す。
中でも、より本格的な出来立て商品「セブンカフェベーカリー」などの商品で他社との差別化を図る。「ふんわりメロンパン」などを展開する「セブンカフェベーカリー」は、全国4,500店舗に導入しており、今年度末に約8,000店舗に、2026年度末に約18,000店舗に拡大予定だ。
2023年3月から本格展開している「セブンカフェスムージー」は、全国9割超に専用マシンを導入、累計販売数は2億4,000万杯となった。
定番品は3種類で、中でも「グリーンスムージー」は、ブロッコリーの茎など使用されることの少ない部位も活用し、出来たての味、栄養補給、フードロスへの貢献を価値にする。1/3日分の緑黄色野菜が摂取可能で、健康ニーズに応える。野菜ジュースの代わりに購入する人も多くリピート率も高い。
8月から発売する「カフェラテスムージー」は、4種類のコーヒー豆をブレンドし、産地支援を行っているセブンカフェと同じ豆を使う。「セブンカフェティー」は現在100店舗だが、今年度中に2,100店舗に導入する予定とする。

新たに投資する出来立て商材には「蒸式調理ロボット」で作る本格的な麺類「お店で仕上げた麺」がある。
店舗の専用マシンにより約2分で、チルド麺では味わえない本格的な味わいを提供する。現在40店舗ほどの販売だが、今後地域を拡大して展開する。できたて商品が家の近くで購入できるかつ自宅でモバイルオーダーができることで、顧客体験価値を向上し、全体の粗利率を上げることが狙いだ。
9月に発売した「相盛おむすび」は、たらこなどの2種の具材を中具とてっぺんに盛ったおむすびで、好調な売れ行きだった。
高付加価値型PB「セブンプレミアムゴールド」は9月に15周年を迎えた。多くの人が物価上昇で節約疲れがある中、「少し贅沢をしたい」というニーズに応える高価格帯の商品を拡充した。
また、6月に「SPECIAL夏祭」と銘打ってお得なクーポン施策を、7月に「真夏のグルメ旨辛界隈」で21品目を展開、9月には秋の食材を使用した「秋をほおばれ!」企画で約30品目を展開し、SNSの発信にも力を入れた。新しい取り組みとしては、ブラックフライデー企画の一環として、Netflixイトーヨーカ堂と連携し、コラボレーション商品を13品目展開。多くの人が動画視聴する夜の食シーンを考え、夜間の来店促進につなげたい狙いだ。商品力に加え、新規顧客や若年層にアプローチを図る。
マーケティング強化では、顧客とのエンゲージメントを通じ、同社のブランドイメージを高める取り組みを行う。9月に、新CMに櫻井翔さん、相葉雅紀さん、天海祐希さんの3名を新キャストとして起用し話題となった。
この時の会見で阿久津社長は「お客様と距離ができてしまったと感じる。セブン‐イレブンが、お客様にとってどんなお店であるべきなのかを見直し、毎日の暮らしの中で“何か新しい発見があるかな”という期待感を提供する場でありたい」と話した。
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