コンビニ3社、豚汁ブームに工夫した商品展開/地域ごとの“豚汁文化”の違いが顕著に
全国各地の家庭料理として親しまれる豚汁だが、昨今は「タイパ」「コスパ」に加えて、健康志向の高まりにも応える商品になっている。また地域により“呼び名”“材料”“味わい”それぞれの個性があるようだ。
ファミリーマートはこのほど、20~60代の男女700人を対象に、自身の地元の味をイメージした「『豚汁』に対する消費者の意識調査」を実施し、全国の地域特性で異なる豚汁のイメージや好みに関する傾向を発表した。
昨今の野菜価格高騰から、野菜を多く食べることができる手段として、豚汁の注目度が増加傾向にある。2025年、都内を中心に豚汁専門店が急増しており、もともとサイドメニューとして認識されていたところから、主菜として楽しまれるようになってきている。
同社では、今年9月より順次各地で実施した豚汁の「具だくさん仕立て」のリニューアルが奏功した。購買データによると、満足度を提供する具材価値の向上と、気温低下が相乗効果を生み、10月の売上は9月対比で28%増の大幅伸長だった。
〈使用する具材や味わいに地域ならではの特徴〉
豚汁のアンケート結果では、使用する具材や味わいに地域ならではの個性が表れているという。
豚肉以外の具材では、「芋」「ごぼう」「こんにゃく」といった定番に加え、東北エリアでは「豆腐(70%)」「白菜(41%)」「ねぎ(81%)」を入れる人が多く、関東エリア(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)よりも使用率が高い傾向が見られる。
「玉ねぎ」の使用でも、東北エリアでは17%に対し、中部エリアでは35%、中国・四国エリアでは40%と約2倍の結果で違いがある。
また、「豚汁に入れる芋の種類」については全国的には「里芋」が主流だが、東北では約49%が“じゃがいも派”で、特に青森県では約8割(82.4%)だった。中国・四国エリアでは約26%が“さつまいも派”という結果だという。

「味の好み」では、全国的には38.6%が「あっさり」味を、36.7%が「こってり」味を好む傾向となり、特に北関東エリアは約半数の人が「こってり」味を好むと回答した。
一方で、「甘め」味を好む人は全国平均で約5人に1人(18%)と少数派ながら、中国・四国エリアでは約3人に1人(28%)が“甘め派”と回答。
同社では、地域ごとに異なる豚汁へのイメージに合わせた商品をプライベートブランド「ファミマルKITCHEN」で展開しており、北海道、北陸、関東エリアでは、複数地区での展開のため、トレンド感を意識して甘めの味わいにしている。
また、中部エリアでは、赤だし味噌をベースにした「赤だし仕立て!具だくさん豚汁」(税込428円)、東北地方では仙台みそをベースにした「具だくさん豚汁」(税込398円)などと、使用する味噌は地域の好みに合わせる。中国地方・四国地方では「さつまいも入り豚汁」(税込398円)でさつまいもを使用するのがポイントだ。

〈セブン・ローソンでもトレンドや地域別の商品展開を実施〉
セブン‐イレブン・ジャパンでも、地域ごとの嗜好に合わせた商品展開を行っている。九州限定で麦みそを加えた「お肉のうま味ぶた汁 九州味噌」(税込354円)、北陸限定「加賀みそ使用 10品目具材の豚汁」(375円)、北海道限定「具だくさんぶた汁 道産豚肉使用」(税込354円)など、地域性を踏まえた商品展開を行う。北海道・九州・沖縄エリアでは“ぶたじる”の呼び名が4割ほどという特徴もおさえている。

ローソンでは、「おにぎり浅草宿六監修 赤だし仕立ての豚汁」(税込378円)を発売し、おにぎり専門店監修商品の“おにぎりに合う”をコンセプトにしたスープに仕上げている。各社トレンドの味わいに加え、地域で異なる特徴を捉えて、よりニーズに応える商品展開を行っている。








