水産品の需給変動、海外戦略強化 水産大手の中期経営計画

水産大手の日本水産と極洋が2015年度~17年度の中期3カ年経営計画をそれぞれ発表した。海外の水産物需要の拡大によって需給環境には大きな変化が起きている。国内の水産品需要が低迷するなか、両社は海外市場への取り組みを強める。一方で円安による原料調達・加工コストの上昇、消費増税を受けた消費低迷の影響も予想され、収益面の苦戦が予想される。前中計では両社とも売上高は計画を上回った一方で、利益目標には届かなかった。新中計では両社とも売上げ拡大を見込む一方、営業利益は前中計の目標を据え置いた。食品事業での収益基盤強化が課題となる。

日本水産は中計「MVIP2017」で、最終17年度の数値目標として連結売上高6800億円以上、連結営業利益230億円以上を掲げた(前中計の数値目標は14年度連結売上高6000億円以上、連結営業利益230億円以上)。

基本方針を「水産物を核とした成長を実現する」としたうえで、「変化に対応し、差別化できる独自の技術力を持つメーカー」を目指すとした。具体的には①成長に向けた積極投資②資源アクセス力の強化③健康機能食品・高付加価値商品の提供④海外でのパフォーマンス拡大–に取り組む。

事業戦略としては、水産、食品、ファインケミカル(FC)の3事業個々の強化に加え、それぞれの事業の境目となる分野での融合を進める。具体的には▽EPA事業の拡充と新用途、医薬への挑戦▽機能性脂質技術の全事業での活用▽惣菜型食品・水産食材品の進化・深化▽海外での伸長–などを挙げている。

投資計画は総額700億円とした。内訳は水産220億円、食品194億円、FC109億円、物流70億円など。

なお「MVIP」とはMake Value through Innovative Plan(イノベーションを通じて価値を創り出す)とMost Valuable Impressive Player(一人ひとりが社会や会社にとって価値ある存在、共感をもたれる存在でありたい)の両義をあらわす。

極洋の新中計「バリューアップ・キョクヨー2018」では、東京五輪が開催される6年後を見据え、その中間目標として17年度売上高2600億円、営業利益50億円(前中計は売上高2000億円、営業利益50億円)、海外売上高比率10%–を掲げた。6年後の売上高3000億円、営業利益60億円を想定した計画となる。

掲げたスローガンは「魚に強い総合食品会社として、収益基盤の安定と変化への対応力を高め、新たな価値を創造する企業を目指す」。

同社は前中計期間に家庭用冷食事業に本格参入するなど事業領域を広げている。「今後は『魚の極洋』として、水産商事事業を一層拡大し、事業基盤を確固としたものにする一方で、業務用及び家庭用の冷食、常温食品といった加工食品事業の拡大・強化のスピードを早め、収益安定化を進めることが重要」とした。

基本戦略として前中計から引き続き、グローバル戦略とシナジー戦略を掲げ、あらたに「差別化戦略」を加えた。市販用ブランド「シーマルシェ」などを通じた価値提案に注力していく考えだ。