演劇やスーパーの売り場ジャックに河童? 笑顔を作る三島食品の販売戦略、「売っているのはサービス」

赤しそ生活を提案する、『ひろし劇団』のおにぎりマンと赤しそずきんちゃん
赤しそ生活を提案する、『ひろし劇団』のおにぎりマンと赤しそずきんちゃん

SNSで何かと話題の三島食品は7月22日、社員10数名が参加する『ひろし劇団』の演劇を岐阜県の介護施設で初披露した。

演目は「赤しそドリンク ゆかり」を用いた『赤しそずきんちゃん』で、給食調理会社ミツオと共同で食育イベントとして開催した。

大好きなおばあちゃんに「赤しそドリンク ゆかり」を飲ませたいと願う赤しそずきんちゃん。そこに、獰猛(どうもう)なオオカミ男ひろしが襲いかかる。おにぎりマンが窮地を救うも、負けてしまう。

赤しそずきんちゃんは「だいじょうぶ!この赤しそジュースを飲めばケガも治るよ」と話し、おにぎりマンに飲ませるとあら不思議、ケガが治って形勢逆転。

さらに、倒れたひろしにもジュースを飲ませ、おにぎりマンがたまらず「どっちの味方なの~~」と叫ぶと会場は大きな笑いが起きた。

グリム童話「赤ずきんちゃん」を下地にした一風変わった物語に、会場は盛り上がった。

今回の公演は、三島食品の販促活動「メイン食材販売支援プログラム」の一環でもある。

三島食品の『ひろし劇団』は、2024年に『素人劇団』として旗揚げした。2025年には、広島菜を使った同社のふりかけ「ひろし」から名前をとり改名。プロの殺陣師(たてし)指導のもと、営業活動のかたわら月に2回練習を行う本格派だ。今回の『赤しそずきんちゃん』の脚本を担当した末貞操社長は、「生半可な気持ちではない」と話す。

末貞社長に狙いを尋ねると、「目的は、赤しそ生活を日本中に広めることだ。ふりかけ『ゆかり』の原料である赤しそは、ポリフェノールが入っていて、国民の健やかな生活に資するものと考えている。今回は、当社がスーパーマーケットなどで実施している『メイン食材販売支援プログラム』の付属コンテンツとして実施した」と語った。

同社は近年、スーパーマーケットのコンコースの食材と連動し、ふりかけを生鮮品などを引き立てる調味料であることを提案する『メイン食材販売支援プログラム』に注力している。

専任営業が中心となり、全国の小売店と一緒に、主に生鮮品(青果、鮮魚、精肉、デリカ〈惣菜〉)と組み合わせたメニュー提案を実施し、売り場を盛り上げている。ふりかけの商品棚を飛び出して、小売店の様々なエリアに商品が置かれ、生鮮品を使用したアレンジメニューを提案。中には、ふりかけ『ゆかり』が100ヶ所以上に置かれるほど店舗をまるごとジャックした事例もある。

2024年からは、成人男性と同じくらいの身長の河童を社員が手作りして売り場に配置。素通りできない独特な売り場づくりが好評で、消費者からの注目を集めているという。

末貞社長は「我々は商品を売っているのではない。売っているのはサービスだ。例えば、ふりかけ『ゆかり』をきゅうりの横に置くだけで、きゅうりがたくさん売れる。いろんな野菜、肉、魚と組み合わせることが可能で、『ゆかり』を置くだけで、その食材がたくさん売れる!とPRする。いわば、『ゆかり』を調味料として認識してもらうための仕掛けだ」と説明する。

スーパーマーケット向けの展示会で、『メイン食材販売支援プログラム』を案内すると、全国から200件を超える申し込みがあったという。

「演劇やマジックやコンサートを行い、売り場に河童を置くなどの奇想天外な取り組みは浅はかな活動に見えるかもしれないが、違う。我々は笑顔を作るためにやっている。その先に赤しそ生活を広めるという大義がある」と話した。

『ひろし劇団』の次回公演は、8月23日に広島県内のスーパーマーケットで開催予定だ。

媒体情報

月刊 メニューアイディア

日本で唯一、栄養士・調理師必読の全給食業態向け総合月刊誌

月刊 メニューアイディア

学校給食、事業所給食(社員食堂や工場食堂など)、メディカル給食(病院や介護施設など)など各種給食業態で活躍する方々に向けた応援団誌です。
毎月、給食業界の活性化につながる最新情報と給食企業の多彩な取り組みを特集で紹介しています。栄養士・調理師向けに、給食の各業態に対応したオリジナルメニューや最新の衛生管理情報を紹介。また仕入れ担当者向けには、食品メーカーの新商品や食品卸の動向を、給食企業のマネジメント関係者向けには人材不足対応や働き方改革、省力化につながる食品(冷凍食品)、厨房機器・システムを網羅するなど、給食産業界全体に総合的で多彩なニュースを提供しています。また高齢者介護施設の管理栄養・栄養士による連載エッセイや女性活躍促進に向けた連載コラム、学校給食の専門家、田中延子先生によるコラム「学校給食物語」も人気です。
月刊誌の主な特集内容は、各給食業態現場訪問レポート、学校給食甲子園、フード・ケータリングショー、業界団体総会特集、治療食等献立・調理技術コンテスト、働き方改革、栄養士・調理師懇談会など。
また、幅広い読者層の期待に応えるため増刊号を毎年1回発行しており、給食関係者の強いニーズから年間を通して使用できるオリジナルメニューを紹介しています。
2015年には、高齢者食の第一人者である中村育子先生や金谷節子先生に作成いただいた『日本初!スマイルケア食もアレンジ!高齢者のためのレシピ80選』。
2016年には、全国学校栄養士協議会協力の『子どもが好んで保護者も納得!学校給食アレンジレシピ集』。
2017年には、スチコン調理の決定版!総合厨房機器メーカータニコーとコラボした「省力化と豊かさ実現!スチコンレシピ集&活用術」。
2018年には、慈恵医大病院とシダックスのレシピを紹介した「加工食品アレンジ!高齢者食レシピ100選」
2019年には、東京五輪に向けて、日本栄養士会の鈴木志保子副会長監修『アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ』。
2020年には、平成30年間の給食業界の動向をまとめた「平成時代の給食から令和へ」。
2021年には、「打倒コロナ!免疫力アップレシピ」。
2022年には、「給食とSDGs」。
2023年には、「次世代に伝えたい学校給食」。

創刊:
昭和54年(1979年)1月
発行:
昭和54年(1979年)1月
体裁:
(月刊誌)A4判 70ページ前後 (増刊号)B5判 240ページ前後
主な読者:
事業所給食、医療・シルバー施設、学校給食、日配弁当事業者、食品メーカー、卸業者、行政他。
発送:
メール便による配送
購読料:
1年=価格18,700円(税・送料込)