なぜ牛角は2,178円で焼肉+飲み放題を始めたのか 平日客を狙う新戦略

『焼肉酒場セット』(ホルモン盛り「白MIX」とハイボールを注文)
『焼肉酒場セット』(ホルモン盛り「白MIX」とハイボールを注文)

焼肉チェーンの牛角は1月21日から、平日限定で『焼肉酒場セット』の販売を開始する。1人2,178円(税込)で、焼肉2皿・枝豆食べ放題・アルコール含むドリンク飲み放題という内容。時間は2時間制(ラストオーダー90分時)で、飲み放題のドリンクに生ビールは含まれない。
『焼肉酒場セット』は、仕事帰りなどの軽い飲み需要、日常使いに応えるために導入する新業態だ。価格設定の背景、市場環境の変化について、牛角メニュー開発部の秋元伸啓氏と大谷渉氏に話を聞いた。

牛角メニュー開発部・秋元伸啓部長
牛角メニュー開発部・秋元伸啓部長

――『焼肉酒場セット』導入の背景は?

近年、客単価2,000円前後で軽く飲み食いができる酒場や、仕事帰りに気軽に立ち寄れる低価格帯の中華料理チェーンが増えています。牛角としても、この市場に参入できないかと考え、今回のターゲット設定を行いました。
こうした低価格帯の酒場や中華料理チェーンは、幅広い年代から支持を集め、店舗数を拡大しています。調査したところ、友人や同僚と飲む機会が多い人は、週に1回程度、少なくとも月に1回のペースで酒場を利用していることが分かりました。

牛角としては、しっかり焼肉を楽しみたいお客様を大切にしながらも、普段使いの酒場シーンでも利用していただける存在になりたいと考え、『焼肉酒場セット』を新たに開始します。街の酒場をそのまま模倣するのではなく、「焼肉屋が提案する酒場」として、牛角ならではの価値を打ち出していきたいと考えています。

――牛角ならではの価値とは何ですか?

「焼肉屋で楽しむ肉」です。ジューシーカルビ、豚カルビ、牛ハラミを盛り合わせた「焼肉盛り」と、シマチョウ、豚ハラミ、ぼんちりを盛り合わせた「ホルモン盛り」の2皿を提供します。「ホルモン盛り」は、焼肉屋定番の味付けである黒MIX味と、お酒との相性を重視したにんにくたっぷりの白MIX味のいずれかを選べます。

内容は、焼肉2皿と「無限枝豆」に、アルコールを含むドリンクの飲み放題を組み合わせたセットで、価格は1,980円(税別)です。昨年11月に期間限定で『焼肉酒場セット』を販売した際、2時間飲み放題における飲料の注文数は、1人あたり平均6杯でした。この実績を単品メニュー価格に換算すると、約5,300円(税別)相当となり、本セットを利用することで3,000円以上お得に楽しめる内容となっています。

【セット内容の画像を見る】「焼肉盛り」、「ホルモン盛り」、「無限枝豆」、ハイボールの画像をすべて見る

――1,980円(税込2,178円)という価格設定は、どのように決まりましたか?

日常的に酒場を利用される方にとって、価格に対する安心感は非常に重要です。あらかじめ予算が分かる定額制は、今回の酒場企画において欠かせない要素だと考え、導入しました。
当初は焼肉屋として肉のボリュームを重視し、3,000円前後の価格帯も検討していました。しかし、ターゲットを想定して20代前半の牛角社員にヒアリングを行ったところ、「日常使いであれば2,000円前後まで」という意見が複数挙がりました。

さらに、マーケティング部のメンバーが実際に街を歩き、賑わっている店舗を調査した結果、外食全体として2,000円前後の価格帯が「日常的に利用しやすい」と認識されていることが分かりました。そこで、牛角の『焼肉酒場セット』としては、税別価格で2,000円を下回る1,980円で提供することを決めました。

〈男性会社員をターゲットに、若者グループや学生からも好評〉

――昨年11月に期間限定で販売した際の反響はいかがでしたか?

想定を上回る反響があり、注文人数は当初の想定の約1.4倍に達しました。この結果を受け、今回あらためて定番メニューとして販売していくことを決定しました。

利用者は30~40代の男性会社員が中心でしたが、アルコール需要の高い立地では、20代の男女グループによる利用も多く見られました。赤羽店では20代の構成比が1.8%上昇し、月間で78人の20代客増加につながりました。

実際に導入してみて新たに分かったのは、学生層の利用が想定以上に広がったことです。赤羽店に限らず、学生街に立地する複数の店舗でも『焼肉酒場セット』の利用が大きく伸びました。これまで学生のお客様は食べ放題を選ばれるケースが多い印象でしたが、現在はニーズが多様化していることを実感しました。
焼肉業界は全体の市場規模は拡大傾向にある一方、昨今の物価高の影響により、消費者の財布の紐は固くなっていると感じています。焼肉店の平均利用頻度は約3ヵ月に1回と言われていますが、その利用頻度も減少傾向にあります。

牛角の強みは、焼肉にとどまらず、幅広い楽しみ方ができる点にあります。今後も普段使いや、様々な利用シーンで牛角を利用していただけるよう、提案を行っていきます。

〈コロナ明け以降も来店数が上がらず、減少傾向の平日客を狙う〉

――焼肉店の利用頻度の減少という話が出ましたが、これはいつ頃から見られる現象ですか?

この傾向が顕著になったのは、コロナ明け以降です。特に平日の売り上げについては、2022年以降、減少傾向が見られます。コロナ後のライフスタイルの変化によって20時以降の集客が減ったことや、若年層がコロナ禍で外食から離れていた時期に競合が増えたことなどが主な要因です。加えて、物価高の影響により牛角でも一部メニューの値上げを行ったことが、利用頻度の低下につながったと考えています。

一方で、消費者が求めているのは「とにかく安い」ことだけではありません。外食業界全体を見ると、これまで最も低価格帯の店舗が支持を集めていましたが、最近では一段上の価格帯が選ばれやすくなっています。その価格帯が2,000円から2,500円です。こうした背景も踏まえ、『焼肉酒場セット』では税別1,980円という価格を設定しました。

平日限定で『焼肉酒場セット』を導入することで、これまで牛角をあまり利用してこなかった方にも足を運んでいただき、牛角に親しみを持っていただきたいと考えています。また、普段は家族で来店されるお客様が、このメニューをきっかけに、平日の仕事帰りに同僚と立ち寄るなど、利用シーンが広がることを期待しています。

〈『焼肉酒場セット』概要〉

販売日 :2026年1月21日(水)から、平日限定
内容 :焼肉盛り/ホルモン盛り(黒MIX or 白MIX) / 枝豆食べ放題/ 飲み放題
価格 :1,980円(税込2,178円)
時間 :120分(飲み放題・無限枝豆のラストオーダーは90分時)
実施店舗 :一部店舗をのぞく全国の牛角店舗
※牛角焼肉食堂では実施しない
※牛角食べ放題専門店では、ラインナップ数・内容が異なる

〈実施しない店舗〉

東京:
八重洲日本橋店、品川店、渋谷店、渋谷3rd店、渋谷道玄坂店、渋谷センター街店、新宿東口店、西新宿店、新宿大ガード下店、五反田店

神奈川:
横須賀汐入店

大阪:
イオンモール大日店、なんば道頓堀えびす橋店

沖縄:
宜野湾店、北谷店、安謝店、津嘉山店、おもろまち駅前店、豊崎店、バークレーズコート店、美里店、うるま石川店、国際通り店、中城店、安慶名店、名護店

【セット内容の画像を見る】「焼肉盛り」、「ホルモン盛り」、「無限枝豆」、ハイボールの画像をすべて見る

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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