日本の外食・飲食店は欧米と比べて、食材・原材料費に敏感だが、エネルギー高への意識は低い? ラショナル調査から

運営コストの上昇(ラショナルによる調査)
運営コストの上昇(ラショナルによる調査)

エネルギー高騰、食品・原材料高、人件費高騰、熟練の従業員不足、残業コスト増加・・・・と、外食・飲食店を取り巻く課題は尽きない。グローバル化が進む中、これらは日本だけではなく、世界各国の悩みの種であるはずだが、果たして日本と諸外国は中でもどの課題認識が強いのか。また、どう課題認識に違いがあるのだろうか。

世界120カ国にスチームコンベクションオーブンや多機能調理器を販売するラショナルは昨年末、ドイツ、フランス、日本、イギリス、アメリカの5カ国に、厨房運営を取り巻く複合的課題について調査を実施した。対象は、複数店舗や単一店舗を運営するレストラン・ホテルの経営層・店舗管理者・厨房管理者・購買担当者など、日々の厨房運営や意思決定に関わるマネジメント層で、各国50人、合計250人。運営コストの上昇や従業員不足、デジタル化などについてどう思っているのかをまとめた。2月に東京ビッグサイトで開かれたフード・ケータリングショーの会場で、ラショナル・ジャパンのプロダクトマネージメント部の稲田康宏部長がその結果を発表、解説した。

食材・原材料費について、5カ国の合計平均が56%である中、日本は64%と課題認識が高かった。

一方、エネルギー費用については、5カ国の合計平均が52%である中、日本は36%と低かった。

熟練従業員の不足が事業に影響しているかを尋ねる設問では、5カ国の合計平均も日本も同じ64%で、人手不足が顕著であることを示唆していた。しかし、従業員不足によってスタッフの業務負荷が増加していると回答したのは、5カ国の合計平均が57%であるのに対して、日本は72%と平均より高かった。日本では欧米4カ国に比べて、人が足りない結果、残っているスタッフに業務のしわ寄せがきていると感じている人が多いようだ。

熟練従業員の不足(ラショナル・ジャパンによる調査)
熟練従業員の不足(ラショナルによる調査)

熟練従業員の不足により、料理提供までの時間が増加していることを課題として捉えているのは5カ国平均が39%に対し、日本は31%。料理提供までの時間が長くなっていると感じているのは、欧米4カ国の方が多いことがわかった。

一方、残業コスト増加については、5カ国平均が36%に対し、日本は44%と高く、残業コスト増加に対する課題認識が欧米4カ国に比べて比較的高いことが分かった。

他方、日本と欧米4カ国で大きな差異があったのは、デジタル化・ネットワーク化だった。厨房が完全にデジタル化されているのは5カ国平均で35%である中、日本はわずか16%と調査対象市場の中で最低値だった。

デジタル化・ネットワーク化(ラショナル・ジャパンによる調査)
デジタル化・ネットワーク化(ラショナルによる調査)

なぜ、導入が進まないのか。稲田部長は「ネットワークのインフラを厨房に用意するコストとメリットがリンクしていないからだ」と指摘するものの、「直近で急激に、特に外食チェーン店等で導入が進んでいる」と近況を述べる。「ネットワークを引くのに数万円かけた方が、各拠点を回る時間と人件費コストを考えると割安であることに気付き始めたようだ」と分析した。

稲田部長はこれら結果を示し、「全体的に、日本の課題は世界と傾向が似ており、中でも共通する課題は、人材不足と採用難、熟練従業員の不足、従業員育成コストの増加、原材料コスト・エネルギーコストの増大である」とまとめ、課題に向けて製品とデジタルソリューションで応えたいと語った。

ラショナル・ジャパンのプロダクトマネージメント部の稲田康宏部長
ラショナル・ジャパンのプロダクトマネージメント部の稲田康宏部長