KFC“次世代店”始動 売上2倍狙う新モデル、バーガー生産6倍 1700店構想の中核に

オープニングセレモニーに登壇した遠藤CEO、1日店長を務めた人気コスプレイヤーのえなこさん
オープニングセレモニーに登壇した遠藤CEO、1日店長を務めた人気コスプレイヤーのえなこさん

日本ケンタッキー・フライド・チキンは、次世代モデル店舗の1号店となる「相模原大野台店」を4月3日にリニューアルオープンした。前日の4月2日にはオープニングセレモニーが開催され、代表取締役会長CEOの遠藤久氏が登壇し、新たな店舗戦略や商品展開の方向性を明らかにした。

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■次世代モデル店は“体験価値”を軸に設計

同店は、今後の店舗づくりの指針となる“パイロット拠点”として位置付けられている。設計の軸には、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の両立を据えた。遠藤CEOは「初めてでも、何度でもこの場所で食べたいと思ってもらえる店舗を目指す」と語り、地域とのつながりを深めるコミュニティ拠点としての役割も担う考えを示した。

ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店
ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店

同社は2025年末時点で1339店舗を展開しており、2030年には1700店舗体制への拡大を目標としている。その成長戦略の柱となるのが、「出店拡大」と「1店舗あたり売上の最大化」だ。今回のモデル店舗では、リニューアル前の約2倍の売上を目指す。

■グローバルデザイン導入 “入りたくなる店”へ

店舗デザインには、海外で高い評価を得ているグローバル基準のデザインを採用した。店内にはKFCのネオンサインや、創業者カーネル・サンダース氏を象徴する“リボンタイ”の電飾を配置し、ブランドの世界観を表現している。

ガラス面を多用することで、外から店内の様子がよく見える設計とした。特に夜間にはネオンサインなどの光が外へ広がり、思わず入りたくなる店舗づくりを意識した。

ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店
ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店

■ダブルドライブスルーで回転率向上

また、同店の大きな特徴のひとつが、同社初となるダブルドライブスルーの導入だ。注文レーンを2レーンに増設し、受け渡し窓口も2か所設置した。さらに、会計待ちによる渋滞を防ぐための待機スペースを設け、受け渡し後も出口まで複数の車両が滞留できる設計とすることで、待ち時間の短縮と販売機会の最大化を図る。

ダブルドライブスルー
ダブルドライブスルー

■生産力6倍 バーガー戦略の中核

遠藤CEOが「最もこだわった」と強調したのが、バーガーの生産体制だ。従来の作り置き中心のオペレーションから、注文後に調理する方式へと転換し、出来たての商品提供を実現した。製造能力は従来の1時間あたり約60個から約360個へと大幅に向上し、約6倍の生産性を確保。新たな機器導入とレイアウト改善により、効率と品質の両立を図った。ポテトについても出来たて提供を強化し、資材や在庫管理の一元化によって、より効率的な店舗運営体制を構築している。

【画像はこちら】ケンタの鶏竜田バーガー 香味ネギソース

■テイクアウト偏重から転換 イートイン拡大へ

これまで同社はテイクアウト比率が高い業態だったが、今後はイートイン利用の拡大にも注力する方針を掲げる。目標はテイクアウトとイートインの比率を「50対50」に近づけること。その実現に向けて、空間価値や店舗体験の向上が重要になると位置付けている。

ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店
ケンタッキーフライドチキン相模原大野台店

商品戦略では、主力のチキンに加え、バーガーの強化を進める。現在の売上構成はチキンとバーガーで約2対1だが、バーガーは日常の食事需要に直結する重要なカテゴリーと位置付ける。今後はランチやディナーといった日常の食事シーンへの対応を強化し、利用機会の拡大を図る方針だ。さらに、朝食も成長領域と捉え、同店での検証を踏まえながら展開を検討していく。

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■モデル店舗は“検証拠点” カセット化で展開

さらに同店は、新商品や新たなオペレーションの検証拠点としての役割も担う。朝食・ランチ・スナック・ディナー・ナイトといった幅広い時間帯の食シーンに対応し、土日には朝9時から営業。将来的にはモーニング展開も視野に入れている。

遠藤氏は、この店舗で検証する要素として、「新商品・メニュー開発」「デザイン・レイアウト」「生産性・従業員体験・地域連携」などを挙げた。これらを全国一律で展開するのではなく、成功した要素を“カセット化”し、立地や市場に応じて柔軟に導入していく考えだ。例えば、朝食施策は都心店舗へ、ドライブスルーは郊外型店舗へ展開するなど、店舗特性に応じた最適化を進める。

■従業員の“働きやすさ”も重視 

また、顧客体験だけでなく、従業員体験の向上にも注力する。ホールとバックオフィスを一体的に設計し、従業員同士や顧客の顔が見える環境を整備。「人の賑わいとつながり」が生まれる空間づくりを目指した。働きやすさの面では、コミュニケーションの取りやすさ、業務に集中できる環境、トレーニングや休憩のしやすさを重視している。

さらに、デジタルやAIによる効率化で生まれた時間を、来店客や従業員とのコミュニケーションに充てることで、人的価値の最大化を図る方針も示した。

■「鶏竜田バーガー」好調 看板商品化も視野

商品面では、「ケンタの鶏竜田バーガー」が前回販売時の約2倍の売れ行きを記録するなど好調に推移している。同商品は「相模原大野台店」で唯一、通年販売を実施する。一方、全国の店舗では季節ごとの“看板商品”として展開する可能性もあるとしており、継続的に話題を創出する商品戦略を進めていく考えだ。

ケンタの鶏竜田バーガー 香味ネギソース
ケンタの鶏竜田バーガー 香味ネギソース

遠藤CEOは「単に商品を提供するだけでなく、体験やストーリーも含めた価値を届けることが重要」と強調。今後は商品力の強化、店舗体験の向上、ブランドストーリーの発信を掛け合わせ、「ワクワクする店舗体験」の創出を目指す。

その基盤となるのが、1店舗あたりの売上の最大化であり、顧客満足と従業員満足の双方を高めながら、持続的な成長モデルの構築を進める。同社はこれを“第二創業”と位置付け、今後も新たな施策や商品を継続的に投入し、変革を加速させていく考えだ。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
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