11月の牛肉需給展望 和去A3は2,400円台の高値か、切落しの苦戦続く

[価格見通しなど]15年10月の東京食肉市場の規格別の価格(消費税8%込み)は、和去A5で前月比119円高の2,662円、A3で112円高の2,343円、A2では156円高の2,240円と、和牛去勢は各等級で100円以上の上昇となった。交雑去勢B2は91円高の1,602円と大きく上昇、乳去B2も5円高の1,123円と引き続き高水準を維持した。

天井に近いと言われた和去A5で119円上げたほか、A3も上昇し一昨年のA5価格と並んだ(グラフ参照)。和去の2等級でも大きく上昇しており、これらは価格の上がりすぎた3等級の代替に回ったと見られる。しかし、和去A2でも2,200円を超し、割安感はなくなっている。

末端では小売価格と相場とのギャップもあって切落しが動かないなど売れている訳ではないが、10月の出荷頭数が概算(日々の概算頭数の積上げ)で成牛合計が13%減、和牛でも13%減と減少していること、例年この時期は共励会が多くその影響があったことが要因とみられる。

末端の販売状況は、この相場高の中でパーツ相場を下げる訳にはいかず、一方では売場で100g398円など価格が決まっている切落しの売価を上げることは難しく、販売量が減少している。需要面では、気温が早めに低下し鍋需要も盛り上がりつつあるが、天候不順による白菜など野菜の高騰が足を引っ張っている。需要と供給を考えれば、枝相場は下がるはずであり、10月の高騰には首をかしげる関係者が多い。結果的に、「需要の減少以上に出荷頭数が減少し、必要最低限の手当てでも相場が上昇したことが背景にある」と考えるしかない状況だ。