【3月の鶏肉需給展望】モモ肉、ムネ肉とも2月までで下落は落着き保合か

国産モモの相場は2月後半以降じわじわと下げており、日経平均では3月4日に610円台に下落した。8日には622円に戻しているが、3月はとりたてて需要期とは言えないものの、モモ、手羽元の需要はまだ強く、年末に残った凍結物の販売もほぼ終わっているため、保合の状況が続くと見られる。

生産面では、東北などは好調なものの、九州では不調であり潤沢とまでは言えない状況だ。ムネは260円前後で2月以降推移している。15年は300円を超える推移が続いたため、それに比べ値ごろ感があり、特売の目玉にもしやすいため引き合いは多い。決算期での放出なども考えられるものの、3月後半にかけては行楽需要も増えるため、大きな下落も上昇もないと考えられる。2月のムネ肉相場は、高騰が続いた15年の2月に比べると、日経平均で59円安と大きく下落して見えるが、14年との比較では4円高となっている。このため、250円から260円程度が3月の底値と見る向きも多い。

【価格見通しなど】16年2月の鶏肉相場(農水省統計部、税抜価格)を見るとモモ肉は前月比38円安の652円、ムネ肉は26円安の272円となった。モモ肉は上旬658円、中旬652円、下旬645円と下落。ムネ肉は、上旬272円、中旬273円、下旬270円とほぼ保合で推移している。

モモの相場は大きく下げたが、ムネは1月末の水準から大きく下げていない。3月はモモ、ムネとも荷動きは悪くなく、生産も天候や気温の変化から波があることで、余剰感はない。凍結品も、年末の持越しの在庫はほぼ出尽くしており、先は種鶏の切り替えなどが生産へ影響して足りなくなる可能性もあり、売り急ぐほどの状況ではないようだ。1月の輸入品の在庫は、輸入量が多いことから積み増している。ただ、既に2月に下落している中で、さらに下落が続くとも考えづらく、上げ下げを繰り返しながら、月間平均ではほぼ保合から弱保合の状況になると見られる。そのため、モモ肉は月間平均で645~655円(日経平均で615~625円)、ムネ肉は265~275円(日経平均で255~265円)程度と考えられる。

【供給見通し】農畜産業振興機構の需給予測では、3月の国内生産量は前年並の12.7万t、輸入量は4.4万と予測している。生産量は、2月末から3月1週目までは、天候や気温の変動で若干不安定だったものの、東北の生産は順調で後半にかけては現状大きな不安要素はない。

輸入量は、1月の輸入量が4.8万tと多く、1月の出回り量も前年比で大きく増加したものの、在庫は積み増している。2月の輸入量は、1月に回った分少なくはなると予想はされるが、それでも多い水準の輸入が続くと考えらえる。ブラジルの船積みは、2月には3万tを切る量に減少したものの、輸入量と在庫の水準が落ち着くにはまだしばらくかかると見られる。

【需要動向など】今年は12~1月までの暖冬とその後の寒さから、2月中まで鍋需要が続き、モモと手羽元は3月10日の時点でも需要が強い。売り場の構成は春向けになり、鍋需要はなくなるものの、3月後半の行楽シーズンがあるためその需要が見込まれる。また、ムネ肉は260円まで下がったことで、末端の特売の目玉商品にしやすくなっており、テーブル向けの需要も増えている。