【9月の豚肉需給展望】 猛暑で出荷動向は流動的、出荷増加のタイミングに焦点

7月2週目から急落となった豚枝肉相場は、8月の盆休み前にかけても上物で税込500円前後の横ばいで推移し、盆休み明け直後こそ瞬間的に520円を付けたものの、それ以降は再び500円前後で推移するなど、それまでの乱高下が激しかった6月や7月と比べ大きな値動きはなく落着いた展開となった。9月はスーパーなど末端の販促も徐々強まるものとみられる半面、出荷面ではとくに九州など猛暑による発育遅れなどの影響もみられている。

気象庁によると、向こう1カ月間の平均気温は全国的に平年より高くなる見通しで、とくに東北地方で70%の確率で平年より高くなる見通しとなっており、枝肉相場も猛暑の影響を大きく受けそうだ。今後の気温の動向と、これまでの出荷遅れの分がどの時点で増えだすか、そのタイミングがポイントとなってきそうだ。いわば今後の気温次第という面もあるが、前半は税込で510~520円前後を維持するものの、出荷増加が見込まれる中旬~月末にかけてどの水準まで下がるか注目されるところ。月間平均では前月並みの価格を維持できるかどうかという状況にある。

[供給見通し]農水省が8月15日に公表した肉豚出荷予測によると、9月の出荷頭数は前年同月比2%増の136万7千頭(過去5年平均比2%増)と見込んでいる。稼働日(20日)1日当たりの出荷頭数は6万8,350頭となり、前月比で8,500頭増えるものの、前年同月比では1,900頭減少する見通しだ。一方、8月25日に公表した農畜産業振興機構の予測では133万3千頭と農水省の予測よりも3万4千頭少な目に見積もっており、ほぼ前年並みの予測(過去5年平均比3%減)。これだと1日当たり6万6,650頭と前年より3,600頭少ない予想となるが、いずれにしても1日当たりの出荷頭数は昨対割れとなる見通しだ。

ただ週間ベースでの出荷動向はかなり流動的で、残暑が続く前半は少な目で推移し、過ごし易くなる彼岸にかけては、この間の出荷および増体遅れの分が回ってくるとみられ、大きく増加してくる可能性がある。

同機構の需給予測によると、9月のチルド豚肉の輸入量は前年同月比1.4%減の2.8万t前後とみられ、ほぼ7月実績(2.8万t)および8月予想(2.8万t)と同レベルとなりそう。

[需要見通し]8月の豚肉の末端需要は、ロース、カタロースを中心に比較的堅調に推移した。盆休み明け以降は、極端に悪いわけではないものの、例年通りロースの需要がやや鈍ってきており、カタロースの引合いは強い。半面、バラは価格次第で動く程度で、夏休みでモモ、ウデのスソ物の動きも鈍かった。9月に入っても概ねその傾向は続いており、カタロースの引合いは強く、在庫も不足気味。逆に、夏休みが終わったことで、学校給食需要でウデを中心にスソ物の引合いが強まっている。スーパー各社では秋の棚替へ向けて徐々に国産豚への販促を強める方向だが、輸入もそれなりに入るため、ロースやバラなどは輸入チルドとの競合や、出荷増に伴い月末に向けて過剰感も出てくる可能性もある。

[価格見通し]9月の豚枝肉相場は、中旬にかけての出荷動向が読み難い状況にあるため、不透明感が強い。出荷がどのタイミングで増え出すかがポイントとなっているが、大方は彼岸入り(19日)がひとつのタイミングといえる。少なくても前半は出荷減の状況が続く可能性が高いため、枝肉相場は税込で510~520円(税抜き470~480円)の相場を維持し、20日過ぎからは下落し、出荷動向によっては月末には470円前後(440円)まで下落する可能性もある。前年9月の平均相場は509円(471円)となったが、ことしは月平均で500~510円(460~470円)水準と予想される。ただ、残暑を含め今後の出荷の動向に左右される面が大きい。