〈サステナビリティ特集〉アサヒ飲料、ESG強化へ出前授業を活発化

“研究員”として岸上社長(写真左)も授業に参加。顕微鏡で乳酸菌を観察
アサヒ飲料は、ESG(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)の取り組みを強化するため、「水」をテーマに環境保全の大切さを伝える「『三ツ矢サイダー』ジュニア環境授業」と、乳酸菌と発酵をテーマに食育・キャリア教育として実施している「『カルピス』こども乳酸菌研究所」を今年も実施している。サスティナビリティの向上を目指したESGの強化の一環として、これまで実施していた小学校向け出前授業を拡大し、未来を担う子どもたちへの教育支援活動を行うことで社会に貢献する考えだ。

〈乳酸菌のチカラを体感〉「カルピス」こども乳酸菌研究所

アサヒ飲料は、乳酸菌と発酵をテーマに食育・キャリア教育として実施している小学生向け出前授業「『カルピス』こども乳酸菌研究所」を、17年度は27校で実施予定。16年は、延べ191人の社員が参加し、合計1789人の児童に授業を届けてきた。

07年にスタートした前身の出前授業も含めると総計8114人の児童に及ぶ息の長い活動だ。7月に神奈川県相模原市の小学校で開催した授業には、同社の岸上克彦社長をはじめ営業職や研究所の社員が参加し、4年生の児童とともに“研究”を行った。同授業は、教育機関からの評価が非常に高いが、それは説明者のほか各班に1人の社員が付くため、職業意識の芽生えや、児童の集中力が増すことも一因だろう。

授業では、「カルピス」が作られる過程でできる発酵乳の試飲や、高性能な顕微鏡による乳酸菌の観察などの五感を使った体験学習を通し、乳酸菌や酵母の生み出すチカラが伝えられた。最後に児童が未来の乳酸菌のアイデアを発表する未来ディスカッションは、キャリア教育の一環として、小学校から高い評価を得ている。

〈水をテーマに環境保全学ぶ〉「三ツ矢サイダー」ジュニア環境授業

「三ツ矢サイダー」が守り続けている「磨かれた水」をテーマに未来を担う子どもたちに環境保全に取り組むことの大切さを伝えるのは、「『三ツ矢サイダー』ジュニア環境授業」だ。

09年に始まった同授業は、16年まで近畿圏を中心に累計223回開催しており、17年も25回を実施予定。今年6月には都内で初開催し、豊島区の小学校4年生を対象に、水の循環や森の役割、リサイクルの必要性を伝えた。プログラムでは、水の必要性を伝えた後、“出張工場見学”と題しDVDで製造工程を動画で紹介。そして地球の水循環をオリジナルの模型を活用して説明し、実際に不透明な水が石や土を通って透明になる「ろ過実験キット」などを使って紹介した。

そして、最後は正しいPET容器の分別方法を一人一人が体験してリサイクルを学び、自然環境を守るための約束をそれぞれが書いた短冊を木の模型に貼る「スマイルエコツリー」を完成させて終了。環境授業の中で社会科と理科を複合的に学べるプログラムだ。

〈食品産業新聞 2017年10月16日付「サステナビリティ特集」より〉

ろ過実験装置などの体験授業で水の大切さを学ぶ

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