〈甘さ離れ・小腹満たしニーズに対応〉
自動販売機やコンビニエンスストアなどで、缶を中心としたスープ系飲料が次々と発売されている。働く女性を中心に、甘くない飲料で満足感を得たいという小腹満たしニーズや、パンなどと一緒に飲むランチや軽食ニーズに、各社が自社の強みを活かした活動で応えているためだ。

今年はスープに注力する企業が相次ぎ、メニューも豊富になったため市場拡大は確実。今後もスープ系飲料に注力する傾向が強まりそうだ。

「缶スープは、他のホット飲料にはない“小腹満たし”というベネフィットがあるため、特定のユーザーに支持されているが、トップメーカーとして缶スープ自体の需要を掘り起こすことが重要だと考えている」と話すのは、缶入りスープ市場でトップシェアのポッカサッポロフード&ビバレッジ。

同社は、「じっくりコトコト とろ~りコーン」と「同 オニオンコンソメ」(各190g缶、115円税抜)を定番品としながら、今年は秋冬向けに、「じっくりコトコト 濃厚デミグラススープ」(170gリシール缶、160円税抜)を発売している。玉ねぎ、トマト、赤ワインを溶け込ませたコクのあるソースに、ビーフの旨みを加えて煮込んだもの。

新商品の開発背景について、「これまで缶スープを飲んでいなかった人に向けた商品。これまでにない“大人向け”のメニューと“ビーフの旨み”にこだわり、より本格的な味わいを提供することで、新たな飲用シーンやユーザーの広がりをねらっている。実際に、従来の缶スープとは異なる“大人のユーザー”や“夕食シーン”での飲用が特徴的で、新たな市場を開拓しつつある。今後も缶スープの持つ可能性を提案していく」(同社)とする。

サントリー食品インターナショナルは、今年9月18日からスープシリーズの「ビストロボス」を全国の自販機で発売。アイテムは、ほどよいとろみ設計の「ビストロボス コク旨い、粒たっぷりコーンスープ」と、スパイシー仕立ての「同 玉ねぎとビーフの旨み、スパイシーコンソメスープ」(各185g缶、115円税抜)の2種類。コーヒー作りで培ったコク出し技術を活かしたコク深い味わいに仕上げた。

“コーヒーじゃないBOSS”として新市場の開拓を進める商品だが、SNSで話題になっており、「味わいやデザインについてポジティブなご意見を頂いている割合が約9割となり、かなり高い評価を頂いている」(同社)状況という。現在、コールドからホットへの切り替えを進めているところで投入したばかりのロケーションも多いが、販売している自販機では「ボス」の主力缶コーヒー並みの水準という。

〈和食、中華、野菜飲料のスープも〉
伊藤園は、フード系飲料として、「とん汁」(165gリキャップ缶/130円税抜)を10月22日から発売している。コクのあるポークオイルを使用し、じゃがいも、ごぼう、こんにゃくの3種類の具材が入ったとん汁飲料。なお、豚肉は入っていない。手軽に本格的なとん汁を最後まで飲めるように、中身が出やすい広口缶を採用している点も特徴。「みそ汁の中でも特に人気が高い“とん汁”を、寒くなるこれからの季節の小腹が空いた時や食事のおともに提案する」(同社)としている。

永谷園は、JR東日本ウォータービジネスと共同開発し、気仙沼産ふかひれ使用の「ふかひれスープ」(190g缶、140円税込)を10月16日からJR東日本の自販機で発売している。自販機に中華メニューが少ないことに着目し、高級感のあるふかひれスープを商品化したという。気仙沼産ふかひれ粉末を0・1%使用し、コラーゲン1000ミリグラムを配合。チキン、しいたけのうまみをベースに、ニンニク、ショウガ、オイスターソースの香りで仕上げた。同社は、「当初の予測を上回り好調。メディアにも多数取り上げられているだけでなく、SNSでも話題になっている。品質評価も好評のようだ」(永谷園)とする。

カゴメは、「野菜生活100 Smoothie(スムージー)」シリーズから初となるスープ「野菜生活100 スムージー とうもろこしのソイポタージュ」と「同 かぼちゃとにんじんのソイポタージュ」(各250gキャップ付き紙容器、180円前後、税抜)を、関東の1都6県で10月23日から発売している。どちらも野菜120g分と食物繊維、イソフラボンが摂れる。同シリーズは、小腹満たしや飲み応えの評価が高く、おやつや間食代わりに飲まれていたが、「一部のお客様から、もっと食事に合う甘くないタイプもほしいという声があった」(同社)ことから開発に着手。スープを同シリーズの柱のひとつに育成していく方針だ。

全国清涼飲料連合会の調べによれば、昨年の洋風スープ(缶・紙容器)を中心とした「ドリンクスープ」の生産量は、13年比で43%増の3万2800klとなり4年連続で増加している。ただ、業務用製品の伸長が好調の背景にあり、直接飲用する缶スープの市場自体は伸び悩んでいた。

今後のスープ系飲料市場の拡大に向けては、ターゲットや飲用シーンを広げる提案が重要になる。各社は、自社の持つ技術や素材の強みを生かしたメニュー開発で、忙しい人々の小腹満たしのニーズに応え、スープをもっと日常的な飲料にしていく考えだ。