〈香りと話題性で女性層を獲得〉
ほうじ茶飲料は、販売金額が前年比4割増で推移するなど人気が高まっている(18年1~9月累計の推定値)。緑茶飲料の中での構成比は約6%に過ぎないが、ここ数年高い成長を続けていた。売れ筋商品は品質の高い茶葉を使用したものが多く香りが良いため、30~40代の女性から「仕事をしながらリラックスできる飲料」として支持されている。また、お菓子メーカーやカフェチェーンが、ほうじ茶フレーバーの商品を次々に展開していることから、抹茶に次ぐお茶のスイーツメニューとしてSNSなどで発信力のある若い女性に注目され、ほうじ茶飲料市場は拡大傾向にある。

ほうじ茶は、煎茶、番茶、茎茶などをキツネ色になるまで強火で炒って、香ばしさを引き出したお茶だ。焙(ほう)じることで、カフェインが低減することも特徴のひとつである。

伊藤園の担当者は、「ほうじ茶は番茶を使うのがリーフの世界では一般的だが、番茶は一番茶に比べて劣化が早い。“お~いお茶 ほうじ茶”は、自社の調達力を活かし、品質の高い国産一番茶葉を使用している。ほうじ茶を急須で淹れて飲まれる方々にも味覚評価が高い」とする。

また、日本コカ・コーラの担当者は、「昔のほうじ茶は、あまり品質が良くないものを、焙じて香りをつけたものというイメージがあった。だが、最近の若い女性は、抹茶の次にスイーツでよく使われている素敵なお茶の素材として受け止められている。カフェインが少ないことも優しい印象につながった」とする。同社の「綾鷹 ほうじ茶」は、宇治の老舗茶舗「上林春松本店」が監修。香ばしい香りを際立たせるため、葉が硬く、強い火入れが可能な二番茶を中心に複数の茶葉を合組(ブレンド)している。

エリア特性に合わせた味覚の提案もある。サントリー食品インターナショナルは、「伊右衛門 焙じ茶」を全国展開するとともに、関西エリアでは、同地域の生活者の嗜好に合わせて作った「伊右衛門 ほうじ茶 関西限定」を展開。同商品は、京番茶入りの設計で、香ばしく苦渋みが少ない点が特徴だ。16年8月から関西エリア限定(通年)で発売している。

〈カフェチェーンのメニュー採用で人気に拍車〉
カフェチェーンなどでメニューに採用されていることも人気に拍車をかけている。スターバックス コーヒージャパンは、今年5月末から7月中旬まで、お茶をカジュアルに楽しめるフラペチーノ「加賀 棒ほうじ茶 フラペチーノ」を展開。タリーズコーヒージャパンは、今年の春夏時期に人気だった「タピオカほうじ茶ラテ」に続き、10月から「ほうじ茶ショコラクリームラテ」と「シフォンケーキ ほうじ茶ミルク」を発売している。
タリーズコーヒー「ほうじ茶ショコラクリームラテ」「シフォンケーキ ほうじ茶ミルク」

タリーズコーヒー「ほうじ茶ショコラクリームラテ」「シフォンケーキ ほうじ茶ミルク」

「加賀棒ほうじ茶」のヒットで、存在感を高めているポッカサッポロフード&ビバレッジの担当者は、「カフェなどでほうじ茶フレーバーのメニューが話題になると当社商品のトライアルも増える。ほうじ茶飲料は30~40代女性の支持が高い商品だったが、最近は意外にも若年層の20代女性も飲まれるようになった」とする。
 
お湯に溶けるスティックタイプでもほうじ茶の人気は高く、スティック市場でシェアトップである味の素AGF社が展開する〈「ブレンディ」スティック ほうじ茶オレ〉は、同社スティック商品の中でも「特に販売量が伸びている人気メニュー」(同社)という。石臼で挽いた微粉砕ほうじ茶葉を使用し、香ばしさが飲み始めから感じられる設計が支持されている。

ほうじ茶のスイーツやメニューの提案は、現在も活発だ。ロッテは、「雪見だいふくほうじ茶」(アイスミルク)を11月5日から発売する。ほうじ茶餡が真ん中に入ったほうじ茶のアイスを、白いおもちで包んだ仕立てとなっている。使用する茶葉は伊藤園の茶師が監修し、「ほうじ茶の味わいを最後までしっかり堪能できる」(ロッテ)設計だ。

ロッテ「雪見だいふく ほうじ茶」

ロッテ「雪見だいふく ほうじ茶」

ネスレ日本と福寿園は、ティーマシン市場とほうじ茶市場における新しいお茶の楽しみ方の提案として、ティーカプセル「スペシャル.T チョコほうじ 京の匠福寿園」を共同開発し、11月15日から発売する。チョコほうじラテも楽しめる。ネスレ日本の担当者は、「健康を考えて飲料を選ぶ意識が高まる中で、ほうじ茶はカフェインが少なく、子どもから大人まで楽しめる飲み物として広まりつつあり、注目はさらに高まるだろう」としている。

ネスレ日本×福寿園「スペシャル.T チョコほうじ 京の匠福寿園」イメージ

ネスレ日本×福寿園「スペシャル.T チョコほうじ 京の匠福寿園」イメージ

茶葉から品質にこだわる商品設計と、スイーツなどでの話題性を追い風に拡大してきたほうじ茶飲料。女性の支持を集め、さらに成長する可能性が高い。
 
〈食品産業新聞 2018年11月8日付より〉