シェアNo.1のコーヒーマシンがキャッシュレス決済対応に、集金・レジ打ち不要で人手不足など解決へ/ネスレ日本

交通系ICカードやアプリを使用したキャッシュレス決済に対応
ネスレ日本の「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」は、2009年の発売以来、累計で530万台以上を販売している日本で最も売れているコーヒーマシンである。好調の理由は、1~2人世帯の増加と嗜好の多様化により、家族一緒にコーヒー飲む機会が減る中で、1杯ずつ簡単に抽出して本格メニューを楽しみたいニーズが増えたことが大きい。また、他に、インスタントコーヒーなどのソリュブルコーヒーに対応したマシンがないことも要因だ。

ネスレは、同マシンのイノベーションを行い、ボタンを押すだけでカフェラテが楽しめる新モデル「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ」を11月1日から登場させる。そして、オフィスや業務店向けには、キャッシュレス決済に対応したサービスもスタートする。

新たなモデルの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ」(1万4950円税抜)は、牛乳がなくても手軽においしいラテが楽しめることが特徴。コーヒータンクとクリーマータンクの2種類のタンクを初めて搭載したことで、カプチーノやカフェラテなどのラテ系メニューを作る際に牛乳が不要になり、簡単で衛生的な設計となった。また、「バリスタ デュオ」の発売に合わせ、家庭やオフィスでより本格的な味わいを提供するため、新製品としてアラビカ豆100%使用の「ネスカフェ ロースタリー ダークロースト エコ&システムパック 50g」と、乳原料を使用した「ネスレ ブライト エクスクリーミー110g」を発売する。

さらに、オフィスや店舗向けのレンタル専用マシンとして、ディスプレイを搭載したタッチパネル式の「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ プラス」のサービスを11月15日から開始する。人手不足に対応する集金代行のサービスもできることが特徴で、キャッシュレス決済により、人手や手間をかけずにコーヒー提供を行うことができる。なお、Suica、ICOCAなどの交通系ICカードや、触れるだけで機器認証ができるNFC(※)チップ付きの専用タンブラー、「ネスカフェ アプリ」を使うことでキャッシュレス決済が可能という。

※NFC=Near Field Communication、近距離無線通信技術

タッチパネル式の新モデル「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ プラス」

タッチパネル式の新モデル「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ プラス」

同社の高岡浩三社長兼CEOは、「“バリスタ デュオ プラス”は、家庭用というよりアウトオブホーム(家庭外)での利用が想定される。カフェやレストランでの使用もあると思うが、コーヒーを飲んでもらうことを本業にしていないお店でも、空きスペースに一杯抽出のコーヒーマシンを置いて、コーヒーを提供したり、販売するケースが増えている。たとえば、ケーキショップなどで当社の家庭用マシンが使われる機会が増えているが、人手不足のためレジに時間をかけたくないというニーズが高まっていた」と、キャッシュレス決済の導入には、顧客の問題解決があるとした。
 
「ネスカフェ」は、もともと家庭用コーヒーナンバーワンのブランドだが、最近では、家庭外におけるコーヒー需要を伸ばしている。内訳は、外食・喫茶店などの「ネスカフェ サテライト」で2300軒、スーパーマーケットやカーディーラーなどの非飲食店の「カフェ・イン・ショップ」で4200軒、オフィスを中心とした「ネスカフェ アンバサダー」で46万軒と展開場所が拡大している。
 
今回のキャッシュレスサービスの登場は、同社がオフィスを中心に展開する「ネスカフェ アンバサダー」においても、小銭を用意したり集金する必要がないため利便性が向上し、利用者と管理者の課題を解決することになるにもつながりそうだ。高岡社長は、「キャッシュレスになってからビジネスの機会を考えるのではなく、当社の製品を購入されているお客様に対し、さらなる利便性を追求していくことを、逆にビジネスの機会だと捉える方がいい。お客様は家庭で消費される方だけではなく、お店を経営されるなどサービス産業に関わる方もいらっしゃる。そのお店でコーヒーをふるまうことは、来店客にとって大きなサービスになるので、それを簡単にサポートするのが新サービスの役割だ」とした。

「バリスタ」新モデルについて説明するネスレ日本・高岡浩三社長兼CEO

「バリスタ」新モデルについて説明するネスレ日本・高岡浩三社長兼CEO

〈ネスレ日本・高岡浩三社長兼CEO談話〉
ビジネスの成功や商品の成功は、常に顧客の問題解決がなければうまくいかない。ただし、顧客の問題は時代とともに変わるものだ。それは新しい現実が、新しい問題を連れてくる。20世紀は、コーヒーが飲みたいと思ったら、カフェやレストランに行かなくてはならない時代が長く続いた。
 
現代は、コンビニエンスストアでも飲めるし、ネスカフェのシステムがあれば、オフィスでも簡単に飲める時代になった。それは、インターネットやIoTの技術を使わなければできなかっただろう。インターネットの誕生前まで、みんながあきらめていたことができるようになっている。そうすると、家庭用のコーヒーしか取り組んでこなかったネスレも、オフィスでも店舗でも飲んでいただける時代になった。その店舗が労働人口の減少で人手不足になっているが、デフレで売り上げは上がらないため、人件費はなかなか増やせない。
 
しかし、われわれのソリューションを提供すれば、設備投資や人件費を大きく増やすことなく、コーヒーを販売するビジネスが成り立つ。そういう新しい時代の中で生まれてくる顧客の問題解決に取り組み、これまでのプレイヤーがやれなかったことをやろうというのが現在の戦略だ。