“茶殻”を活用した抗菌対策自販機、伊藤園が3万台展開へ

伊藤園「茶殻抗菌シール」自販機
伊藤園は、株式会社ワンウィルとサンロック工業株式会社と共同開発した製品「茶殻配合シート」を活用した「茶殻抗菌シール」を、自動販売機での購入時に手が触れる部分に貼付した、抗菌対策自動販売機を6月より順次展開する。衛生面への配慮が求められる病院や介護施設などから先行し、全国30,000台を目標に展開する。

茶殻抗菌シールは、独自の技術「茶殻リサイクルシステム」により開発され、カテキンなど緑茶成分由来の抗菌効果がある。同社によれば、茶殻配合シートは、大腸菌、MRSA、サルモネラ菌、白癬菌を用いて抗菌力評価試験を行ったところ、抗菌効果が認められたという。

自動販売機は主に即飲み需要の消費者に利用されているが、不特定多数の人が利用するため、「衛生面」への不安の声も聞かれるという。今回、自動販売機の購入ボタンや取り出し口に、抗菌効果のある茶殻抗菌シールを貼付することにより、消費者の「安心」「安全」の思いに寄り添い、より衛生的で身近な自動販売機として展開する考え。

伊藤園「茶殻抗菌シール」自販機

伊藤園「茶殻抗菌シール」自販機

 
伊藤園では、「お〜いお茶」をはじめとする日本茶飲料の販売拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量が年々増加している状況にある(2018年度の排出量は約67,400トン)。
 
そうした中、有効活用に向けて、茶殻を原材料の一部に使用し、畳や建材、マスクケースなどの樹脂製品、紙ナプキンや封筒などの紙製品、そして「お〜いお茶」ブランドのペットボトル用段ボールまで、これまでに約100種類の茶殻リサイクル製品を開発しており、独自の技術「茶殻リサイクルシステム」を確立していた。
 
同社は、「今後も、“茶殻リサイクルシステム”のコンセプトである“お茶をお客様の身近な製品へ活用する”という考えのもと、身近な茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、“茶畑から茶殻まで”の一貫した環境経営を行うことで、本業を通じた社会貢献活動の輪をより一層広げてまいります」としている。
 
なお、茶殻抗菌シールを実現した「茶殻リサイクルシステム」とは、多量の水を含む茶殻を輸送・工業製品に配合できる技術のこと。茶殻は多量の水を含んでいるため腐敗しやすく、代替原料化するには乾燥工程が必要となる。しかし、乾燥することで燃料消費や二酸化炭素の発生が課題となり、これまで茶殻を保存・輸送する技術を確立できていなかった。伊藤園は、含水のまま常温保存して輸送・工業製品に配合できる技術「茶殻リサイクルシステム」を2001年に確立している。

「茶殻リサイクルシステム」

「茶殻リサイクルシステム」