2020年のミネラルウォーター市場の販売数量は、前年比約3%減で着地したもようだ。コロナ下で清涼飲料全体は前年比約7%減だったため、他の飲料に比べて水製品は比較的順調に推移した。水製品の国内生産量も過去最高になっている。人の移動の減少によりコンビニや自販機において、小容量製品の販売は国産・輸入とも苦戦したが、在宅時間の増加でスーパーやドラッグストアを中心に国産の大容量製品の販売が伸長した。

日本のミネラルウォーター市場は成長を続けており、国内生産量は30年間で30倍以上に拡大した(2019年と1989年の比較)。健康志向というメガトレンドを背景に、災害や外出自粛対策の備蓄用としてのニーズも高いことから、清涼飲料市場では「水の時代」が続いている。ただ、成長を続ける中で変化している面がある。ひとつは環境配慮容器の増加で、もうひとつは安定的な供給体制をいっそう強化する動きである。

ミネラルウォーター市場では、これまでは採水地や容量サイズの訴求が多っかったが、最近はラベルレスなど容器の環境負荷低減の取り組みを訴求する傾向がある。これは、水製品が各企業で環境の取り組みを象徴するような役割を担うためである。

2020年3月には「い・ろ・は・す」(コカ・コーラシステム)が100%リサイクルペットボトルを導入したほか、「エビアン」は、同年からリサイクルプラスチックを10%使用。2025年には全世界で100%使用を目指している。「クリスタルガイザー」(大塚食品)も、2021年4月から50%リサイクルペットボトルを導入した。同月にはポッカサッポロも「富士山麓のおいしい天然水 リサイクルペットボトル ハローキティ ラベル」を自社通販などで発売した。

リサイクルペット以外の取り組みでは、ラベルレスタイプの水製品が増えており、大手各社がEコマースを中心に展開している。2018年発売の「アサヒ おいしい水」からいち早くラベルレス製品を展開するアサヒ飲料は、4月から新たな取り組みを始めた。それが、タックシールを付けて単品売りを可能にした「アサヒ おいしい水 天然水 シンプルecoラベル」(585mlPET)だ。東日本の一部エリアで店頭と自販機で販売している。ラベル部分を極力減らし、生活者の社会貢献意識の醸成にも貢献する。軽量化では、「サントリー天然水」が550mlPETにおいて国産最軽量(11.9g)を実現している。

そして、猛暑や災害時にも迅速な対応をするため、国産水の供給体制をいっそう強化していることも最近の特徴だ。輸入水を代表するブランドだった「ボルヴィック」の販売をキリンビバレッジが2020年末にとりやめたことが象徴している。

アサヒ飲料は、2017年から「アサヒ おいしい水」ブランドに統一し、需要が急増した際にも対応できる体制にした。サントリー食品は、2020年11月から「サントリー天然水」に統一し、各地から供給できる体制を整えている。5月には、「北アルプス信濃の森工場」の稼働開始予定で、生産量を増やして安定供給体制をいっそう強めていく。キリンビバレッジは、2020年10月から「キリン 天然水」(600ml)を発売し、大容量を中心に展開する「アルカリイオンの天然水」とともに、国産水のラインアップを強化した。

2011年の東日本大震災以降、日本は災害が多発しており、ミネラルウォーターは「命の水」としての役割が重視されている。日常生活にも浸透し、“なくてはならない存在”になったといえるだろう。国民1人あたりの年間消費量は、2020年に33.3リットルとなり、5年前より6.6リットル増加した。ただ、米国(119リットル/2019年実績)やドイツ(125リットル/同)に比べると低い水準であり、さらに拡大することが予想される。「水の時代」は続きそうだ。