ポッカサッポロフード&ビバレッジの「ポッカレモン」が好調を続けている。濃縮還元レモン果汁で、シェアは80%超のトップブランドだ。高まる健康志向と家庭での使用機会が増加したことで、直近5年間は特に伸長し、2021年の出荷量は前年比108%となり過去最高を更新した。2022年で発売65周年を迎えるロングセラーブランドは、さらなる成長に向け、製造設備を増強するほか、レモンの総需要拡大に向け啓発活動を進めている。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ取締役の大槻洋揮レモン・プランツミルク事業本部長は、2月16日に名古屋工場で行われた発表会で、「次の65年に向けて始まりの1年にする。今まで紡いできたポッカレモンブランドを次のステージに引き上げる」と語った。

「ポッカレモン」は、1957年に谷田利景氏(旧ポッカコーポレーション創業者)が開発した瓶入りレモンがはじまり。女性を中心にカクテルが流行した時代、自由化前で市場価格の高かった生レモンの代わりに気軽に使えるレモンの提供を目指したことがきっかけという。

その後も、時代のニーズをつかみながら品質改良を続けてきた。1980年代には、健康や食の安全を求める声が増加し、1988年には保存料無添加の商品を実現した。1995年には、家飲み需要の増加を受けて「焼酎用レモン」を発売。2014年には、家庭での使用機会増加から、女性や高齢者も開けやすいワンタッチ開閉のヒンジキャップを70ml商品に採用した。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、経営計画のテーマとして「植物性素材を中心とした“未来の食のあたりまえ”の創造を実現する」を掲げている。「ポッカレモン」は、レモン果汁の家庭での常備率が上昇しているとはいえ約21%にとどまっており、マヨネーズや醤油など他の調味料と比べて低いため常備率を高めていく。機能面、心理面、経済面を合わせた「レモンまるごとの価値」を多くの生活者に知ってもらい、生活に欠かせない存在になることを目指す。

そこで、生産設備の拡充と、時代のニーズに対応した積極的な商品展開、さらにレモン啓発・食育活動としてレモンアンバサダーの設置を行う。

生産設備の拡充では、名古屋工場第3工場に「ポッカレモン100」(70mlプラボトル)の製造設備を増強する。2023年5月の稼働予定で生産能力は2020年比3倍になる予定という。
「ポッカレモン100」出荷数量の伸長率

「ポッカレモン100」出荷数量の伸長率

 
変化する社会ニーズに対応した商品展開では、2月21日から2品を新たに展開する。炭酸水にぴったりのドリンク作り専用のレモン「ぎゅっとレモン」(300mlビン)と、開栓後も常温保存が可能で、好きな時にレモンで味の変化を楽しめる「卓上レモン」(70mlプラボトル)だ。
 
レモンの啓発活動は、小学校の出前授業、オンラインセミナーといった食育活動などを継続してファン化を進めていく。特に、クエン酸による健康価値を訴求するという。新設するレモンアンバサダーには、プロゴルファーの稲見萌寧さん、プロ野球選手の杉谷拳士さん、陸上競技選手の寺田明日香さんが社外アンバサダーに就任した。トップアスリートが実際にレモン製品を摂取し、レモン食育セミナーを受講して、啓発イベントやSNSでメッセージを発信する。
 
さらに、ポッカサッポロフード&ビバレッジは、各エリアにレモン食育専属担当の社員を順次設置するという。地域に根差したレモン食育活動を推進していく考えだ。
 
大槻本部長は、ポッカサッポロフード&ビバレッジにとっての「ポッカレモン」の存在意義を次にように話す。「当社の経営理念『植物性素材を中心に“未来の食のあたりまえ”をつくる』を鑑みた時に、成長ドライバーとして、“ポッカレモン”はその中核である。また、会社のパーソナリティをある意味一番体現した、精神的支柱といえる存在にもなっている」。
 
世の中では、缶チューハイやサワーなどのアルコール類、スイーツ・菓子などで、レモン関連商品の人気が高まっている。レモンを中核事業に置く企業が啓発活動を強化することで、レモンの存在感はいっそう大きくなりそうだ。