〈ターゲット絞り込みや店内調理〉

中小CVS(コンビニエンスストア)各社が、大手では開発しにくい商品で存在感を示そうとしている。大量生産に向かない商品、特定の顧客にターゲットを絞った商品、オペレーションが難しい店内調理などだ。日本のCVS業界は寡占化が進み、大手3社で9割近い店舗数を占める。1万店以上の大手チェーンと1000~2000店規模のチェーンでは、コスト構造に大きな格差があり、定番商品ではもはや太刀打ちができない。個性的な「尖った」商品を持つことで、熱狂的なファンの開拓を目指す。

ミニストップは11月24日から「スモークチキン(骨付き)」(税込み198円)を発売する。フライドチキンはCVSの定番品で、これからのクリスマスに向けた季節は年間で最大の売り上げを記録する。CVS各社ではチキンの一押し商品の開発、既存の人気商品の販促などを強化してくるが、燻製のチキンを発売するのはCVSではミニストップが初めてになる。

世の中は「燻製ブーム」で、燻製に特化した外食店の人気が高まり、ホームセンターでは家庭でできる燻製キットなども販売されている。スーパーでも燻製の加工食品が多く販売されているが、温かい燻製メニューを手軽に購入できる店舗はない。密閉空間で燻す行程が必要な燻製は、大量生産がしにくく、1万店以上のチェーンでは供給が難しい。ミニストップでは2000店余りだからできる商品として、今回スモークチキンにチャレンジした。ミニストップは「ハロハロ」「ベルギーチョコソフト」など店内調理のコールドデザートが看板商品だが、今年は一方で激辛メニューも相次いで投入している。チキンでは世界一辛い唐辛子「ジョロキア」を使った「ジューシーチキン(辛口)」、中華まんでは本格的なコクと辛さの「バターカレーチキンまん」を発売した。いずれも子供や辛いものが苦手な人には食べられない商品で、あえてターゲットを絞った。ポプラも今シーズンはジョロキアを使った「漢(おとこ)泣き鬼辛チキン」を発売する。

ポプラは10月下旬から「漢(おとこ)祭」と題し、前述の「漢泣き鬼辛チキン」や1000kcalを超える弁当など「男にしか食べられない」商品を相次いで発売している。大手各社が女性やシニアをターゲットにした商品開発を強化し、顧客層の拡大を図る中、あえてCVS本来の主要顧客層である若い男性にターゲットに絞って差別化する。

デイリーヤマザキはインストアベーカリーと店内調理弁当の「デイリーホット」で差別化する。唯一のメーカー系CVSとして、2次発酵不要でいつでも焼きたてを用意できるベーカリーシステムを自社開発し、子会社が供給するキット商品で店内調理弁当のオペレーションも劇的に簡素化した。地方ではベーカリーのない町も多く、地域唯一の焼きたてパン提供店としての存在感も確立していく。

〈食品産業新聞2017年11月20日付より〉