コンビニ大手が廃棄ロス削減に本腰、顧客・加盟店・本部の三方にメリットある仕組みを構築へ

愛媛県と沖縄県のローソン約450店では、対象商品の購入で、ポイント還元とともに子ども支援団体への寄付を行う実験を展開
CVS(コンビニエンスストア)トップのセブン‐イレブン・ジャパンと、同3位のローソンが、相次いで廃棄ロスの削減に乗り出す。

両社とも消費期限の迫った商品を購入した顧客にポイントを還元することで購入を促す。ポイントは本部が負担する。これまでもセブンでは廃棄ロスの15%を本部が負担していたが、残りは加盟店の負担だった。ローソンでは店内調理品の値引き販売を推奨しているが、値引き分は加盟店の負担。

両社は今回、定価販売の維持と加盟店の負担をなくすことで、加盟店が参加しやすくし、ポイントというインセンティブで客数と売り上げの増加も狙う。廃棄ロス削減でポイントの原資も生み出す。顧客・加盟店・本部の三方にメリットがある仕組みの構築と定着を目指す。

〈食品ロス削減推進法案が成立〉
両社が廃棄ロス削減に踏み込んだ背景には、食品ロス削減推進法案が今国会で成立する見通しとなったことがある(5月24日成立)。日本の食品ロスは年間643万t(2016年度)と推計され、恵方巻の大量廃棄問題など、CVSも原因の1つとしてやり玉に上がっていた。

セブン‐イレブンとローソンの表明を受け、業界2位のファミリーマートも、例年大量の廃棄が出ていた恵方巻やクリスマスケーキなどについて、今後は予約販売のみにすることを公表。合わせて消費期限が3日あるチルド弁当や冷凍食品の拡充、惣菜のロングライフ化など、これまで行ってきた廃棄ロス削減の取り組みを継続的に強化していくことを改めて表明した。

〈消費期限が近い弁当購入でポイントを還元〉
ローソンは去る5月17日、都内で記者会見を開き、6月11日~8月末まで愛媛県と沖縄県の約450店で、深夜の1便と早朝の2便で納品した定温弁当とおにぎりを16時以降に購入した場合、購入金額100円あたり5ポイント(5円分)を還元する実験を行うことを発表した。1~2便に限定したのは夕夜間の廃棄が特に多いため。加えて、5ポイント分を子どもの支援団体に寄付する。厚生労働省の調査によると、日本の子どもの7人に1人が貧困で十分な食事が摂れていない。廃棄ロスと貧困のバランスを仲介することで、「顧客にとっても参加しやすいプログラム」(竹増貞信ローソン社長)にした。

対象商品には工場出荷時点で「アナザーチョイス」と書かれたシールが貼られ、16時以降の購入で自動的にポイントが付与されるため、加盟店側の作業は増えない。本部は計10ポイント分を拠出することになるが、「ロスの削減分と売り上げが増えた分、本部負担のポイントのバランスがとれれば全国に拡大する」(涌井和広ローソン上級執行役員中食商品本部長)という。

セブンも今秋から全店で、消費期限が4~5時間に迫った弁当、おにぎり、生麺などを購入すると、本部負担のポイントを還元する。

〈小売業界で「3分の1ルール」見直しが進む〉
CVSだけでなくスーパーも含めた小売業界では、加工食品のいわゆる「3分の1ルール」(賞味期限の3分の1を超えた商品は納品できない業界慣習)を「2分の1ルール」に改める動きも具体的に進んでいる。飲料・菓子に続き、今後はカップ麺にも拡大する。ローソンでは昨年から揚げ物など店内調理品の値引き販売を推進し、廃棄ロスが2割削減しているという。竹増社長は、「捨てるよりは売り切った方が絶対にいい」と話し、廃棄分を原価から除くことで廃棄した方が本部の取り分が増える「コンビニ会計」の継続を否定した。同社では2030年までに18年度比50%の食品ロス削減を目指す。

〈チルド弁当に求められる「先に作ったものから」買ってもらえる仕組み〉
CVS各社が拡充するチルド弁当は消費期限が3日程度あり、実際に欠品防止と廃棄ロス削減につながっている。しかし、毎日納品されるため、実際の売場では、同じ商品でも複数の消費期限が混在してしまう。顧客はより新しいものを購入する傾向が強く、「チルド弁当こそ、先に作ったものから買っていただけるようにしないといけない」(涌井ローソン上級執行役員)とし、ローソンではチルド弁当の廃棄ロス削減プログラムも、今後は導入していく考えだ。

〈食品産業新聞 2019年5月23日号〉