JR東日本は3月23日、山手線の高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)改札内にAI無人決済コンビニ「TOUCH TO GO(タッチトゥゴー)」をオープンする。

高輪ゲートウェイ駅は3月14日開業。今回オープンする「TOUCH TO GO」では、顧客は商品を取るだけでスキャンの必要なく、直接自分のバッグに商品を入れてもよい。天井に設置したカメラと店内の赤外線、商品棚に設置した重量計のデータを組み合わせ、誰が何を買ったのかをAI(人工知能)が判断する。出口でタッチパネルに表示された購入内容を確認し、交通系電子マネーを端末にかざすと決済が完了してゲートが開く。6月以降にはクレジット決済にも対応する予定。
「TOUCH TO GO」は交通系電子マネーを端末にかざすと決済が完了してゲートが開く

交通系電子マネーを端末にかざして決済完了するとゲートが開く

一昨年にJR赤羽駅(東京都北区)で実験したホーム上のAI無人決済店を進化させたもので、取扱品目を赤羽駅の約140アイテムから約600アイテムに拡大し、弁当・惣菜や酒類も扱う。システムを開発した株式会社TOUCH TO GO(以下TTG)の阿久津智紀社長は、「高輪ゲートウェイ駅は新技術をチャレンジする駅という位置づけ。未完成の部分はあるが、実際に使ってもらうことで修正していく。この店舗をショールームとして実際に体験してもらい、このシステムを人手不足の問題を抱える小売、外食などに販売していく」という。
 
TTGは今回のシステムを「イニシャルコストなしで月額80万円で提供したい。今回ぐらいの店舗(売り場面積60平方メートル)は通常3人で運営するが、これをバックルームに待機する1人にし、削減した2人分の人件費を導入費用に充ててもられば」(阿久津社長)という。既存の什器に設置できることで導入コストを抑えた。夜間の人員確保が難しい店舗、地方の小売店への提供も想定する。顧客への対応にはコールセンターを用意し、正式なサービス開始時期は未定。
 
赤羽では約100台設置したカメラを今回は50台に削減した。阿久津社長は「さらに半分ぐらいに減らす必要がある」という。課題は、店内で顧客が密接した時に、AIが顧客1人1人を判別しきれるかという点で、当面は1度に入店できる人数を7~10人に制限する。入店時に個人を認証する作業もなく、入口に立つとゲートが開くが、制限人数を超えるとゲートは開かない。
 
1度手に取った商品を棚に戻してもAIは判断できるが、手に取った商品を他人に渡してしまうと、「おそらく判断できない」(阿久津社長)といった課題もある。AIが判別を誤っても、出口で顧客が購入内容を確認することで修正でき、「人による最終判断は必要」だという。
 
酒類を購入した場合は、出口のタッチパネルに「20才以上ですか」と表示され、「はい」をタッチしないと購入できない。バックルームに常に従業員が1人いて確認することで、未成年は購入できないようにする。「完全な無人化は目指していなく、あくまでも省人化を目指すシステム。1人いることで酒も弁当も販売許可が下りる」(阿久津社長)という。
 
TTGは、先端技術の調査・発掘やベンチャーへの出資などを行うJR東日本子会社のJR東日本スタートアップと、金融機関向けにAIを活用したシステムを開発しているサインポストの合弁会社。両社による赤羽駅での実証実験を経て昨年7月に設立した。
 
商品の判別に「RFIDタグ」を使わなかったのは、タグ1個のコストが高いこともあるが、「タグ自体の認識範囲が狭く、レンジアップする弁当には付けられないため」(阿久津社長)だという。
 
決済用のタッチパネルと出口ゲートは2台設置し、出口を出た場所に電子レンジとセルフ販売のコーヒーマシンを各1台設置した。コーヒーは決済しないと抽出が開始されない。