新型コロナウイルスの影響で、小売の業態間による業績の格差が大きく広がった。2020年3〜5月の四半期決算は、SM(食品スーパー)とドラッグストアの多くが軒並み2桁増収、2桁以上の大幅増益となった。一方でCVS(コンビニエンスストア)やSC(ショッピングセンター)、百貨店の多くが2桁の減収減益となり、SMやドラッグとは真逆の業績となった。

SMとドラッグストアの業績が大きく上振れしたのは、食品や消耗雑貨など、生活必需品が主力商品のため。2月下旬から始まった不要不急の外出の自粛要請で、買い物が自宅近隣に限られると、広域商圏のSCや百貨店の来店客が極端に落ち込み、身近なSMやドラッグストアに客が集中した。

3密を避けるため、都などが買い物頻度を下げる要請を行うと、生活必需品が1カ所で揃うSMやドラッグストアの優位性がさらに顕著になった。

GMS(総合スーパー)のイオンリテールは、イオンモールなどSCの核店として出店する店舗はSCの集客力低下に連動し、食品売上高(既存店ベース)も3〜5月の期間ずっと前年同期比マイナスで推移した。一方、GMS単独店の食品は、「ワンストップショッピングが支持されている」(三宅香イオン執行役環境・社会貢献・PR・IR担当)ことから、前期比5〜10%増とSMと同様の業績だった。

セブン&アイ傘下のイトーヨーカ堂(GMS)も堅調で6月には既存店売上高がプラスに転じた。セブン&アイでは不振の続くイトーヨーカ堂のリストラを公表していたが、「ワンストップが支持されている。(GMSの)使われ方が変わってきた。全店の将来性と収益性を再精査する」(井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長)としている。

SM上位3社の営業利益が前期比で2倍以上の大幅増益となったのは、既存店が好調なことに加え、3密を避けるためのチラシ特売の休止で販管費が下がり、粗利益率が改善したことも貢献。営業時間の短縮も販管費削減につながった。

〈好調のドラッグストアだが、商品構成によっては苦戦も〉
ドラッグは概ねSM同様の業績だったが、化粧品の構成比が高い企業は苦戦した。化粧品は外出の自粛による需要減だけでなく、インバウンド売上高がほぼゼロになったことも響いた。

調剤も苦戦しており、「(感染拡大防止で)病院へ行く回数が減っている」(池野隆光ウエルシアホールディングス会長)という。他方、「マスクを求めてドラッグストアに来店し、食品などが豊富に揃っていることを知った若い新規顧客が増えている」(同)という。

6月も既存店売上高が10%増の高水準を維持したコスモス薬品は「主力は郊外の食品満載型のフード&ドラッグ」(横山英昭コスモス薬品社長)とし、食品の売上高構成比が55%超、手数料が割高なキャッシュレス決済は導入せず、徹底的なローコスト運営による低価格戦略が巣ごもり消費の中で強みとなった。3〜5月の食品は6割を超えている。

SCと百貨店は緊急事態宣言の期間、食品や生活雑貨の売場を除いて営業できなかったことが大きい。CVSは住宅地の店舗は好調だが、日販の高いオフィス街や繁華街の店舗が業績を押し下げた。

セブン―イレブン・ジャパンは住宅地立地が多い西東京エリアは概ね前年以上の売上高で推移したが、オフィス立地が多い東東京エリアは1〜2割減、休校と在宅勤務で通勤・通学客が大幅減少した鉄道駅構内の店舗は4〜5割減だった。

ローソンは本業の苦戦に加え、映画館運営のユナイテッド・シネマ、チケット販売のローソンエンタテイメントなどエンタメ事業が赤字に転落したことが、営業利益の大幅減益(81.6%減)につながった。
主要小売の2020年3~5月連結業績

主要小売の2020年3~5月連結業績

 
〈食品産業新聞 2020年7月20日付より〉