近年、スーパーなどの食品売り場で、ディズニーキャラクターをパッケージにデザインした食品を目にすることが増えた。

ウォルト・ディズニー・ジャパンでは2020年にプロジェクト「ディズニー ヘルシー・テイメント」を開始。その一環として、食品メーカーなどと連携し、ディズニーキャラクターをデザインした食品の展開に取り組んでいる。

「ディズニー ヘルシー・テイメント」は、ディズニー作品の「ストーリー」の力で、パートナー企業の「人や社会や地球をヘルシーにする活動」を楽しい体験として昇華し推進していくプロジェクト。

商品の物質的な豊かさだけでなく、ゲスト一人一人の心を豊かにするような、ヘルシーでサステナブル(持続可能)なアイテム、サービスを世に生み出していく取り組みとして、「体を整える」「身に着ける」「家で過ごす」「未来を知る」という4つの分野で展開している。
「ディズニー ヘルシー・テイメント」体を整える・身に着ける・家で過ごす・未来を知る©Disney

「ディズニー ヘルシー・テイメント」体を整える・身に着ける・家で過ごす・未来を知る©Disney

「体を整える」の食に関する分野では、幅広い分野の食品に、ディズニーがエンターテイメント要素の「楽しさ」を加えることで、注目度を高めることや手に取ったり体験したりするきっかけづくりに寄与することを目指している。
 
「ディズニー ヘルシー・テイメント」以前にも、ディズニーと食品メーカーによる健康を訴求する商品展開は行ってきた。ディズニー独自に塩分や糖分、カロリーなどの基準量を定めたガイドライン「ディズニー・チェック」を適用した商品として現在でも多数販売している。

「ディズニー・チェック」マーク©Disney

「ディズニー・チェック」マーク©Disney

プロジェクト開始から2年弱が経過し、商品は徐々に増えている。牛乳や納豆、青果など毎日の食卓で登場頻度の高い、身近な食品が多いのが特徴だ。商品展開してきた食品メーカーによると、新規顧客の開拓や休眠顧客の掘り起こしにつながっているという。各社の具体的な商品展開を見ていく(発売日順)。
 
〈ディズニーパッケージで子育て世帯の売上向上/森永乳業〉
森永乳業は2021年10月、ミッキーマウス・ミニーマウスなどのディズニーキャラクターをデザインしたパッケージの「森永のおいしい牛乳」シリーズと「森永牛乳200ml」を発売した。

ディズニーパッケージ「森永のおいしい牛乳」シリーズと「森永牛乳200ml」(森永乳業)

ディズニーパッケージ「森永のおいしい牛乳」シリーズと「森永牛乳200ml」(森永乳業)

森永乳業のマーケティング担当によると、牛乳は子どもの成長に大切な栄養素も多く含んでおり、学校給食だけでなく朝食や休日にも家族みんなで飲んでもらいたいと考え、同社が展開する商品の中で「森永のおいしい牛乳」を選んだという。
 
「牛乳の原料は生乳のみで、人にも地球にも優しい健康的なものであることも“ディズニー ヘルシー・テイメント”の理念と一致しました」(森永乳業 マーケティング担当)。
 
ディズニーデザイン展開後、売上は拡大し、特に子どもを持つ世帯の構成比が上昇したという。「新しいお客様のトライアルが獲得できていると考えております」(森永乳業 マーケティング担当)。また、「牛乳が苦手な子どもが、ディズニーデザインに惹かれて飲んでくれた」という声も寄せられたそうだ。
 
〈ミッキーマウスパッケージで“もち麦”のトライアル促進/はくばく〉
大麦や雑穀、小麦などの穀物を扱うはくばくでは2022年1月下旬、パッケージにミッキーマウスをデザインした「はじめて食べるもち麦」を発売した。

ディズニーパッケージ「はじめて食べるもち麦」©Disney

ディズニーパッケージ「はじめて食べるもち麦」©Disney

「もち麦は水溶性と不溶性の両食物繊維を含んでおり、食物繊維量が白米の25倍、玄米の4倍、ゴボウの2倍あります。リピーターが多くいらっしゃる一方で、食べたことがない方もまだ多い」(はくばく PR課)。
 
ミッキーマウスをパッケージにデザインすることで、売り場で手に取ってもらうきっかけを増やし、トライアル促進を目指したという。初めて食べる人でも食べやすいよう、小容量で展開した。
 
ミッキーマウスともち麦の写真をそれぞれ大きく配置したパッケージは、話題化にもつながった。Twitterでユーザーが投稿した、「(コラボパッケージでありながら)両者一歩も世界観を譲らなくてすごい」という主旨のツイートは、「いいね」が28,000件以上、「リツーイト」は6,000件を超えた。
 
インストアプロモーションを展開した一部流通企業での売り上げは、前年同月比で74%増と伸長した。
 
〈商品特性と相性の良いキャラクターを起用/カゴメ〉
カゴメでは2022年3月下旬、生鮮野菜「β-カロテントマト」「高リコピントマト」をディズニーパッケージで発売した。

「β-カロテントマト」「高リコピントマト」(カゴメ)

「β-カロテントマト」「高リコピントマト」(カゴメ)

カゴメの広報グループによると、パッケージに各商品の特性と親和性が高いキャラクターをデザインしたほか、体験を訴求する工夫を施したという。
 
黄色が特徴の「β-カロテントマト」のパッケージは「くまのプーさん」を起用し、裏面にはプーさんの好物である“はちみつ”を使ったレシピを掲載した。
 
一方、女性に訴求する「高リコピントマト」のパッケージには、「白雪姫」「シンデレラ」などのディズニープリンセスを採用した。トマト7個ほどをまとめた「高リコピントマト トレー」では、丸ごとや刻みでの冷凍保存も提案する商品として、“冷凍”にちなみ、「アナと雪の女王」の塗り絵が楽しめるパッケージとした。出荷実績は前年比で2桁伸長し、購入客層では30~40代女性が拡大した。
 
また、全国の一部ホームセンターでは、トマト苗「こあまちゃん」「こあまちゃんオレンジ」をあわせて販売した。栽培を通じて野菜を好きになってもらうきっかけづくりに貢献するのが目的で、ディズニーストアの一部店舗で行った「トマト苗」の無料配布も好評だったという。

トマト苗「こあまちゃん」「こあまちゃんオレンジ」(カゴメ)

トマト苗「こあまちゃん」「こあまちゃんオレンジ」(カゴメ)

「引き続き“植育”と“食育”を包括した、楽しい野菜体験を両社で提供していきたいと考えております」(カゴメ 広報グループ)。
 
〈“金のつぶ”シリーズでディズニーパッケージを展開/ミツカン〉
Mizkan(以下、ミツカン)では2022年6月1日、パッケージに「ミッキーマウス」や「ドナルドダック」をデザインした納豆「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ 3P」「金のつぶ 押すだけプシュッ!と 梅風味黒酢たれ 3P」を発売した。

ディズニーパッケージ「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ 3P」「金のつぶ 押すだけプシュッ!と 梅風味黒酢たれ 3P」(Mizkan)

ディズニーパッケージ「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ 3P」「金のつぶ 押すだけプシュッ!と 梅風味黒酢たれ 3P」(Mizkan)

ミツカンの広報部は、「独特の工夫と新しい発想で、バラエティ豊かなラインナップをそろえる“金のつぶ”シリーズに、ディズニーを組み合わせることで、日々の食卓に楽しい食体験を提供すること目指しました」とコメントした。
 
「『金のつぶシリーズ』の中でも、納豆が苦手な方でも食べやすく、からだを整える日々の習慣として、幅広いお客様に取り入れていただきやすい、『たまご醤油たれ』『梅風味黒酢たれ』の2種類からスタートしました」「ディズニーパッケージを機会に、より幅広いお客様に召し上がっていただければと思います」(ミツカン 広報部)。

ディズニーパッケージ「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ 3P」「金のつぶ 押すだけプシュッ!と 梅風味黒酢たれ 3P」(Mizkan)

ディズニーパッケージ「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ 3P」「金のつぶ 押すだけプシュッ!と 梅風味黒酢たれ 3P」(Mizkan)

〈ディズニーパッケージを選んでいたら“結果的に人や地球がヘルシーになっていた”〉
食品メーカーと取り組む「ディズニー ヘルシー・テイメント」の“ヘルシー”には、人にとっての健康という意味だけでなく、地球にとっての健康、つまり環境に優しいという意味も込められているという。
 
ウォルト・ディズニー・ジャパンのバイスプレジデント&ゼネラルマネージャーである井原多美氏によると、健康志向のニーズに対してだけでなく、昨今高まってるサステナビリティ意識の観点もプラスし、「人や社会や地球をヘルシーにする活動」へ昇華させたのが「ディズニー ヘルシー・テイメント」だ。

ウォルト・ディズニー・ジャパン 井原氏

ウォルト・ディズニー・ジャパン 井原氏

単純にディズニーデザインパッケージの商品を販売するのではなく、ディズニーの持ち味であるストーリーやキャラクターの魅力によって、“ヘルシー”な食品の摂取継続やトライアル促進に貢献したいという。
 
ウォルト・ディズニー・ジャパンでは、情報過多な現代において、“人や地球がヘルシーになること”に関心があっても「どのようなアクションを取ればいいのかわからない」という人が多いと見ている。そのような中、理想のひとつとするのが、自然に気楽に選択できるように環境を整え、「楽しい方を選んでいたら知らないうちに、自分の健康や地球環境にとってよい選択をしていた」「ディズニーライセンシー商品を選んでいたら、“結果的に人や地球がヘルシーになっていた”」という形だ。
 
今後、「ディズニー ヘルシー・テイメント」では、「新しい知識を得ること」「運動など体を動かすこと」「再生素材などを使った地球にやさしい選択肢を増やすこと」などの取り組みも増やしていきたいという。井原氏は「例えば大豆ミートなど、新しい技術や“新しい食の楽しみ方”について、認知向上やトライアルのきっかけづくりに寄与できたらうれしい」と語った。
 
◆「ディズニー ヘルシー・テイメント」公式サイト(ウォルト・ディズニー・ジャパン)