直近の決算期で海外売上高を公表した上位メーカー24社中、海外売上げが増加したのは8社にとどまり、15社が減少した(前年比なしが1社)。年平均で米ドル、ユーロとも約11%の円高になったことから円換算では減少となったことが大きな要因だ。ただ海外売上が減少したメーカーの多くは10%未満の減少であり、実質的には増収になる。

本紙は食品業界の16年度売上高上位約40社(16年11月期~17年3月期)を対象に海外売上高を決算短信など公表資料から調査した。この中には乳業や畜肉関連など国内が主力というメーカーも多い。そのため海外販売についての記載がない、「国内が90%以上で記載を省略」という企業が20社近くあり、海外売上高を公表したのは24社となった。

海外売上は減少が目立つ。2ケタ以上の減収が5社あるが、為替の影響に加え、各社の個別事情が含まれる。しかし、それ以外は1けたの減収にとどまっており、現地通貨での海外売上は増収というケースが多い。また、8社は海外売上が増加しており、現地通貨では2ケタを超える増収になった計算になる。

為替(1~12月平均)を見ると、対米ドルは15年が121・0円、16年が108・8円(11・3%円高)、ユーロは15年が134・3円、16年が120・3円(11・6%円高)、中国人民元は15年が19・4円、16年が16・4円(18・7%円高)。この他、豪ドル、インドネシアルピア、ブラジルレアルなども円高に振れた。現地通貨を円貨に換算するとき、これらの比率で売上が減少する。

海外売上を示した企業の海外売上高は合計で4兆2193億円。前年比は7・3%減。代表的な3通貨が2ケタ以上の円高であることから、平均も1割以上の円高はまちがいないので、7・3%の減少は実質増収と言える。

国内市場は少子高齢化、人口減に加え、所得の伸び悩みを背景にした価格デフレは継続中。そこで海外市場に活路を見出そうという狙いが着実に実を結んでいる。また公開していないメーカーでも東南アジアなどへの進出は盛んだ。成熟市場の日本国内に対して、増収の期待が大きい海外市場に力を入れている。

海外売上比率が最も高いのがキッコーマンの56・8%、味の素の54・0%。ヤクルト本社は40%以上、サントリーHD、キリンHD、不二製油も30%を超えている。これらの多くは自社製品の輸出から現地生産へ拡大していったケースだ。ミツカングループは米国などでのM&Aで伸ばした。

一方、海外売上高が最も多いのがサントリーの9039億円、次いでキリンHDの6800億円。今期は為替の影響で減収となった。

海外売上を公表していない有力企業でも海外進出を鮮明にしている企業は多い。伊藤園は中国、東南アジアで生産・販売拠点網を強化している。山崎製パンもインドネシアで合弁のパン工場を設立している。

また最近は味の素、キユーピー、Mizkanなどアメリカでの製造販売を強化する動きが強まっている。