ネスレ日本は、「後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査」を実施し、75歳以上の多くが必要な食事量を摂れていないことがわかったと発表した。背景には、「粗食が大切」という認識が浸透していることが要因にあり、高齢者の2人に1人が昨今問題視されている「フレイル」(加齢による心身の衰弱)の疑いがあるという。

これは、同社のネスレ ヘルスサイエンス カンパニーが、2019年6月に実施したインターネット調査結果によるもの。回答者は、〈1〉75歳以上の男女500名、〈2〉75歳以上の同居家族を介護支援している男女500名、〈3〉管理栄養士200名が対象で、合計1200名の回答から「高齢者の食と健康」の現状が推測されている。

調査によれば、後期高齢者とされる75歳以上の約9割、介護・支援者の約7割が今の食事量でも栄養が十分だと思っているが、栄養のプロである管理栄養士の約7割は「足りていると思わない」と回答した。これは、根強い“粗食志向”が背景にあるが、管理栄養士から見ると“不健康”とされている。

同社は9月11日に都内でプレスセミナーを開催し、日本静脈経腸栄養学会理事長で、藤田医科大学医学部の東口高志教授が「高齢者の低栄養と身体への影響」と題した講演を行った。
日本静脈経腸栄養学会理事長・東口高志教授

藤田医科大学医学部・東口高志教授(日本静脈経腸栄養学会理事長)

東口教授は、「日本人の75歳以上のほとんどの方が、必要とされる食事量に足りていないこと、その原因が“高齢者でも粗食が大切”とする誤った認識の浸透によることが、今回の調査で明らかになりました。日本人の高齢者の多くがBMI〈体重kg÷(身長m×身長m)〉で18.5以下ですが、最近のデータによれば、欧米ではBMIが27の人が最も長生きするとの結果が示されています。低BMIは、特に高齢者で筋肉の量が減るサルコペニア、それに伴って心身が衰弱して生活力が損なわれるフレイルの原因になります」。
 
「われわれは高齢者が各地域でいきいきと生きていけるように、WAVES Japan(ウェイブズ ジャパン)という全医療職が集まり、社会栄養学を実践する集団を組織して、低栄養の怖さとその回避方法を2015年から各地で啓蒙し、“元気に食べてますか?運動”を実施しています。食事をしっかり摂ること、また、普段の食事に、たんぱく質やカロリーなどを手軽にプラスできるような栄養補助食品を摂ることをお勧めする」とした。
 
ネスレ ヘルス サイエンスカンパニーの中島昭広カンパニープレジデントは、「しっかりと栄養を取ることで高齢者も元気になります。敬老の日に向けて、高齢者の体重が減っていないか、栄養が摂れているかを確認していただくきっかけにしてもらえたら」と話した。