ゆずには、カラタチの台木に穂をついで栽培する「接ぎ木」と、種から木を成長させ実を発生させる「実生(みしょう)」がある。実生は栽培に時間を要し、管理・収穫にも困難が伴うため、市場の90%以上は接ぎ木が占めている。しかしながら、香り成分を多く含む皮部分が厚く、不揃いながらも生命力溢れる実生は、地元農家では「より強い香りをもつ」と言われ昔から栽培され、郷土料理の材料にも使われてきた。

鶴屋は、大量生産には向かずとも地方で受け継がれてきた価値あるものを守りたいとの思いで、「実生のゆず」を果汁やピューレとして商品化し、発売。現地の登録農家と関係を構築し、生産から加工までを現地工場で行っている。接ぎ木で生産された柚子は一切使用せず、安心・安全・無農薬で「実生」の品質保証があるため、こだわりの調味料、飲料、菓子などの原材料に採用実績がある。現在では徳島県庁を介してEU諸国からも引き合いがあり、日本の天然素材を求める欧州のパティシエなどからも注目を集めている。

〈食品産業新聞 2019年12月2日付より〉