学校給食三団体が首相官邸を訪問、臨時交付金の活用打診を依頼

学校給食三団体の代表と岸田文雄首相ら
学校給食関連三団体協議会(学校給食物資開発流通研究協会(学流協)、全国給食事業協同組合連合会(全給協)、日本給食品連合会(日給連))は5月20日、首相官邸を訪問し、「令和4年度『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金』の活用により物価高騰に伴う学校給食費の負担軽減を求める要望書」を提出した。

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食材費が高騰する中、小中学校に通う児童・生徒約900万人の給食現場へ食材を納入する同三団体の関連事業者としても、学校給食費の値上げが避けがたい状況となっている。

そのような中、文部科学省初等中等教育局・食育課は4月5日に臨時交付金の活用について事務連絡を発出して、地方公共団体の判断により、高騰する食材費増額分の負担を支援することを可能にした。

また4月26日には、原油高騰・物価高騰等に関する関係閣僚会議が、コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を策定し、臨時交付金を拡充・活用して学校給食の負担軽減を促進することを盛り込んだ。

それらの動きを受けて、要望書では「臨時交付金の活用により、保護者負担を増やすことなく全国において質と量を保った学校給食を実施され、未来を担う子ども達の健全な心身の成長に大いに寄与するものと期待する」として、「臨時交付金を積極的に申請し学校給食費の負担軽減に用いるよう地方自治体に強く促すこと」を求めた。

〈岸田首相、要望書受けて協力を承諾〉
5月20日の午後に都内で開かれた専門誌向け説明会で、日給連の中込武文会長(甲信食糧社長)は、「首相官邸訪問の目的は制度を作ってくれた御礼と、この制度を有効的に使っていただけるように政府から後押しをしてもらうことだ。会見を開き、新聞その他のメディアに取り上げられることで、全国の保護者の皆さんと地方自治体に知ってもらい、制度を活用いただきたい」と語った。

中込会長は「一番よかったのは、岸田首相が『後押しをする』と言っていただき、さらに『その後どのように補助金の申請につながったのか、報告して欲しい』と踏み込んだ回答をいただいたことだ」と訪問の成果を語った。三団体は今後、会員にアンケートをとり、申請状況をとりまとめ、山本ともひろ衆議院議員(自由民主党文部科学省部会長)と国光あやの衆議院議員(自由民主党文部科学省副部会長)へ進捗状況を伝える考えだ。

臨時交付金の申請締切は、1回目が5月9日に終了。2回目は7月29日となっている。内閣府地方創生推進室が4月28日に発出した事務連絡によると、臨時交付金を拡充し、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を創設したことで、予算額は1兆円。都道府県及び市町村において、学校給食費等の負担軽減を含む生活支援と産業支援が対象。

なお、三団体は4月20日に日本PTA全国協議会の清水敬介会長を訪問。家計の収入は不安定な状況は脱せず、保護者の心情は「給食の質・量は維持したままで、給食費の値上げを控えてほしい」と思われることから、臨時交付金の活用について相談して、各都道府県の担当者へ共有と理解を求めた。

〈日給連・中込会長「短時間の制度化は2年間の活動の成果」〉
中込会長はこの2年間の三団体の活動を振り返り、「いち企業・団体ではなく、学校給食をめぐる三団体が一致団結して活動してきた。文科省・農水省とも毎回話し合い、アドバイスを受けてきた。短時間で制度化が叶ったのはこうした活動を継続してきた成果だ」と語った。

〈冷食日報2022年5月24日付〉