完全キャッシュレス、セルフオーダー採用の実験店舗「GATHERING TABLE PANTRY(ギャザリングテーブルパントリー)馬喰町店」をオープンし、従業員の業務負担軽減と効率性向上を目指すのは、ロイヤルホールディングスだ。今年7月には「LINE Pay」を導入したセルフ決済への対応も開始し、研究開発店舗としてさらなるIT化を促進している。一方、主力業態「ロイヤルホスト」には今年から年3日の一斉休業日を導入した。従業員の働き方改革、生産性向上へと大きく舵を切る同社の取り組みを追った。

「オープン当初、現金が一切使えないという点で大きな不安を抱えていたが、この半年で新たな決済システムも生まれるなど、環境の変化もあり、確かな成果が出てきている。『セルフテーブル決済』の導入も7月からスタートし、さらなる利便性の向上に拍車をかけていく」。「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」の開発を手掛けた同社の野々村彰人常務は、オープンから9カ月を経た手応えや改善点をこう語る。
常務取締役・野々村彰人氏

常務取締役・野々村彰人氏

〈「完全キャッシュレス」「セルフオーダー」「調理工程短縮と料理の質の両立」〉
同社は昨年11月、「店長業務の負担が大きく人材育成の時間が取れない」など、飲食店固有の課題に対応するため、実験店舗として同店をオープンした。同店の特徴は、“楽天ペイ(実店舗決済)”の決済システムを使用した「完全キャッシュレス」、iPadを活用した「セルフオーダー」、自社セントラルキッチン製造商品の活用およびキッチンオペレーション改革による「調理工程短縮と料理の質の両立」の3つ。生産性を向上させることで、同社事業の根幹である“ホスピタリティ”をより発揮しやすい環境づくりを目指したという。現金管理を無くしたこととで、売上管理業務の作業数が軽減、「レジ締め」もそれまでの40分から1分程度に短縮するなど確かな成果を上げている。

一方、課題として浮かび上がってきたのが決済方法で、複数で来店した場合、個別会計ではシステムの構造上、現金以上に時間がかかることもあり、またカード決済による店舗の手数料負担もかさむ。こうした課題解決のひとつとして7月13日より、「LINE Pay」を活用した「セルフテーブル決済」の導入を開始し、キャッシュレス決済手段を拡大した。注文用タブレット端末で、支払方法に「LINE Pay」を選択すれば、利用客自身のスマートフォンひとつで注文から支払いまで完了することができ、店員による操作が不要となるため会計にかかる手間も大きく減少する。

「LINE Pay」によるセルフテーブル決済を導入

「LINE Pay」によるセルフテーブル決済を導入

「このほど経産省が立ち上げたキャッシュレス推進協議会では、カード決済による店舗の負担金を1%未満に抑えることを目標に掲げている。初期投資やランニングコストを抑えることができれば、一気にキャッシュレス店舗が浸透する見込みだ。同店については今後も各機能の改善を行いながら新たな課題・さらなる進化のための機能追加、改善を加えながら、検証した成果をロイヤルグループ内へ反映していく」(野々村氏)。

同店のみならず、同社は様々なIT投資による業務効率化、生産性向上に取り組んでおり、3月に「東京ミッドタウン日比谷」内にオープンした「Q CAFE by Royal Garden Cafe」では、自動輸送機(シャープ製Automatic Guided Vehicle)を初めて導入。キッチンから距離のある客席に料理の運搬を行う。また「シズラー新宿三井ビル店」では6月から、食器洗浄工程にロボットシステムと超小型高圧食器洗浄機を導入し、人とロボットが作業を分担して協業を目指す実証実験も開始している。

〈ロイヤルホスト 営業時間短縮も売り上げは拡大〉
一方、主力業態のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」では働き方改革の一環として昨年、営業時間の短縮に着手した。店舗平均で1.3時間短縮したため、当初は既存店売上高の前年割れを予想したが2%増と拡大。今期上期(18年1~6月)も3.8%増と前期を上回る数字で着地した。客数は2.7%減と前年を割れたが、客単価が6.7%増と大きく増加した。

早朝・深夜の営業時間を短縮した分、ランチやディナーの配置人数を増やしたことで、ピークタイムオペレーションが向上、来店客1人あたりの注文数が増加するなど、客単価の上昇につながったという。同業態を中心に今年、休業日の導入も決めた。商業施設やホテルなどの一部店舗を除き、年3日の一斉休業を導入。元旦と5月8日を休業し、11月にも休業日が予定されている。働く環境を整備することで、ホスピタリティサービスレストランとして付加価値の向上につなげていく意向だ。

〈食品産業新聞 2018年8月2日付より〉