〈ネット上で情報発信とオーダー受注の両方を行う仕組みを確立〉
夢の街創造委員会(大阪本社・大阪市、中村利江社長)が運営するネット宅配注文ポータルサイト「出前館」が急速な成長を遂げている。加盟店舗数、利用者数ともに日本最大の出前専門サイトとして確固たる地位を築く同事業の飛躍的な成長の契機は、新聞配達員を活用した配達パートナーによるシェアリングデリバリーサービスの導入だという。16年12月に朝日新聞社との提携で本格スタートした同サービスは、78拠点まで拡大。人手不足から配達機能を持てない飲食店の収益拡大につながる画期的サービスとして注目を集め、加盟する店舗も右肩上がりで拡大中だ。

これまで「チラシ」で情報を発信し、「電話」でオーダーを受け取るという2つのアクションで成立していた“出前”。インターネット上で情報発信とオーダー受注の両方を行う仕組みを確立し、2000年に日本初の宅配ポータルサイトとして誕生したのが出前館だ。届けて欲しい住所を指定し、店舗を選んで、そのまま注文が出来る便利なサイトとして人気を集め、18年11月末現在で、年間1回以上注文するアクティブ会員数は274万人、加盟店舗数は1万7834店を超える日本最大の出前専門サイトへと成長を遂げている。

〈サイト上で「配達までの待ち時間」などの情報を見てから注文〉
夢の街創造委員会広報担当の藤本久美氏は、出前館の仕組みを次のように説明する。「飲食店は初期投資をおさえて加盟することができ、出前館経由の売り上げの5%を成功報酬として出前館に支払う。お問合せや加盟店へ受注確認が取れないときは常時、オペレーターによる電話対応も行っている。加盟店1店1店に営業社員が出向き、注文数やリピート数のアップにつながる販促施策を提案するなど、随時フォローを行っている点も飲食店から支持を集めている理由だろう」。

サイトに訪れるユーザーは、ピザ・弁当・中華・寿司・洋食・和食・エスニック・カレー・ハンバーガー酒・ネットスーパーなど様々なジャンルの出前サービス店舗から、メニューや“現時点での配達までの待ち時間”などの情報を見て注文。サイトから注文内容を受注した飲食店は注文メニューを調理し、最短20分でユーザーへと届ける。支払い方法は代金引換のほか、クレジットカードやLINE Pay、携帯キャリア決済などにも対応可能だ。

〈“シェアリングデリバリー”拡大で飛躍〉
出前館事業の18年8月期売上高は連結範囲の変更による影響を除いて前期比4割増の40.8億円となった。朝日新聞社との提携で本格的に開始したシェアリングデリバリーの拡大が、同事業の飛躍的な成長につながったという。

シェアリングデリバリーとは、自店で配達員を持たない店舗の料理を配達代行するサービス。出前館に注文が入ると、該当店舗と配達を行う拠点(以下「シェアデリ拠点」)に直ちに注文が入り、店舗は指定時間に料理を仕上げる。その後、配達は朝日新聞サービスアンカー(ASA)を始めとするシェアデリ拠点が、所有するバイクや電動自転車で行い、飲食店は配達委託手数料をシェアデリ拠点に支払う仕組みだ。

藤本氏は、「本サービスを導入することにより、飲食店は新たに配達人員を採用しなくてもデリバリーサービスを実施できる。地元に詳しく、配達インフラを確立しているASAは配達人員の不足を補う強力なパートナーだ」と強調する。

ASAでは早朝と夕方を除いたバイクが稼働していない時間を活用し、出前館オリジナルボックスをバイクに取り付け、料理を配達している。既に持っている配達インフラを活用し、多額の設備投資をしなくても新事業を展開できるとして、新たなシェアデリ拠点に名乗り出るASAは増加中だ。

〈19年8月末までに加盟店2万1000店舗以上を目指す〉
夢の街創造委員会では、「ユーザーにどんなジャンルが求められているか」「そのジャンルの平均売上は」など20年近く出前館事業を運営する中で蓄積したデータベースを活用し予見した上で、新たなシェアデリ拠点を開設しているという。

ASAのほか宅配寿司の小僧寿しなども出前館のシェアデリ拠点を運営しており、現在、首都圏や関西・中京・福岡など78拠点が稼働。同社は19年8月末までに210拠点、3年後には530拠点まで増やす計画で、都心部を中心に、配達数が多いエリアでは自社でも配達拠点を開設しており、拡大する宅配市場への対応を図っていくという。

「少子高齢化が進む中、社会インフラとしても宅配サービスが果たす役割は大きい。日本全国どのような場所からでも、様々なジャンルの出前が注文できるようにすることが当社の目標だ」(藤本氏)。加盟店舗数も19年8月末までに2万1000店舗以上を目指す意向で、シェアデリ拠点の飛躍的な拡大に期待がかかる。