国内最後の「アンナミラーズ」高輪店8月31日閉店発表で連日のパイ売り切れ、予約・取り置き一時停止や購入制限など実施/井村屋

アンナミラーズ高輪店(右はユニフォームを着たウエイトレス)
井村屋は2022年8月31日、「アンナミラーズ高輪店」を閉店する。

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日本国内唯一となっている「アンナミラーズ」店舗。1983年11月30日、アンナミラーズ11番目の店舗としてオープン。品川駅前・京急ショッピングセンターウィング高輪の2階に入居し、立地条件にも恵まれ、約40年にわたり営業を続け、アンナミラーズブランドを世に広めるうえで大きな役割を果たしてきた店舗だ。今回、国土交通省から品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請があり、移転対象となる他店とともに退店について合意し、協力することになったという。

井村屋では今後、「アンナミラーズ」について高輪店同様の集客力が得られる立地候補を検討しているが、現在のところ新規出店は未定。ただし、全国にアンナミラーズのオリジナル・パイやチーズケーキのファンが数多くいることから、アンナミラーズ公式オンラインショップや井村屋ウェブショップなどでのEC販売を中心に、さまざまな展開を進めていく予定だという。

アンナミラーズは1973年6月13日、南青山に1号店をオープン。外食産業の黎明期において、井村屋製菓株式会社(現・井村屋グループ株式会社)初代社長の井村二郎氏が、アンナミラーズの代名詞である特色あるアメリカンパイに出会い、サンフランシスコにあったアンナミラーズ社と提携したのが日本展開の始まり。

アンナミラーズ青山1号店

アンナミラーズ青山1号店

 
練りパイと言われる食感のあるパイ生地や濃厚なカスタードクリームを使うなど当時日本にない数々のパイやコーヒーのおかわり無料サービス、アメリカと同じユニフォームなどアンナミラーズが提供したホスピタリティ(おもてなし)の数々は、高度経済成長期にあった生活スタイルに合致し、多くのファンの支持を得た。
 
青山店を皮切りに、自由が丘、目黒、吉祥寺、下北沢など若者が多く集まる立地に出店を重ね、延べ25店舗を数えたが、生活スタイルの変化などもあり、現在、営業を継続している店舗は、高輪店だけとなっていた。
 
アンナミラーズ高輪店では閉店を前に、昔懐かしいパイの復刻販売を開始。「復刻 ココナッツカスタードパイ」、税込660円(店内飲食時の価格)。1980年代~90年代に販売していた人気商品。濃厚カスタードをこんがりと焼きあげ、ローストココナッツをトッピングしたパイ。ほろ苦いカラメルソースとの相性が抜群だという。

アンナミラーズ高輪店「復刻 ココナッツカスタードパイ」

アンナミラーズ高輪店「復刻 ココナッツカスタードパイ」

 
6月14日の「アンナミラーズ高輪店閉店のお知らせ」公式サイト掲載以降、「アンナミラーズ高輪店」には、多くの利用客が訪れ、パイの売り切れも連日発生。席の予約・商品の取り置き・パイの予約の受付を一時停止するとともに、“当面の間”店内飲食・テイクアウトともに毎日10時からと18時から1日2回の販売を行い、売り切れ次第、販売終了としている。また、1人6ピースまたは1ホールまでの購入制限を設けている。
 
電話などにより激励の言葉や今後の展開についての問い合わせも多く、店舗においては“電話対応ができかねる状況”も発生。
 
井村屋では「(電話が)不通の際には何卒ご理解賜りたくよろしくお願い申し上げます」「安全・安心のもと、お客様にご満足いただける商品をお届けすることを心掛け、少しでも多くの商品を準備するよう尽力いたしますので、何卒ご理解いただきたくお願い申し上げます」などとしている。
 
◆アンナミラーズ公式サイト