17年度業務用食品は上期2.5%増のペースを、惣菜6%増、介護11%増-マルハニチロ大西執行役員業務用食品部長

マルハニチロ 大西宏昭執行役員業務用食品ユニット業務用食品部長
〈円安で営業減益も経常増益に〉
マルハニチロの17年度連結ベースの業務用食品(加工)ユニットの売上高計画は2.6%増1,012億円。単体の業務用食品部の販売はマーケット全体の2%増(外食1%増、中食3%増など)を踏まえ、「マーケットシェアを上げる目標で営業活動を進める」。ちなみに、連結ベースの17年度上期(4~9月)業務用食品(加工)ユニットの売上高は、前期比12億円増収の493億円だった。

また、業務用食品部単体の上期実績は「売上げは2.5%増収、営業利益はマイナスだが、経常利益は増益。営業利益減はほぼ為替の影響でレートは約7円の円安だった。ヘッジのため為替予約をしているが、経常利益は為替益を反映した」としている。

通期の販売計画の変更はなく、「上期のペースを崩さずに年間業績は達成できると見ている。市場は価格面で厳しくデフレ傾向にある」。今期は①自社グループの重点商品を3つの重点業態(量販店中心とした惣菜、インバウンド、介護食ルート)で集中販売し、②円安環境下、稼働を上げることにより利益水準を高める、ことを重点施策にしている。

上期の重点業態への販売は、惣菜ルートが6%増、インバウンド42%増、介護食11%増と大きく伸長した。惣菜ルートは量販店、コンビニともに堅調だが、量販店関係は8月下旬からペースダウン、11月から復活している。インバウンド関係の伸長は商品71品についてトレースした数値。「約8割はインバウンド需要があり、特に朝食バイキング向け商品が好調」。外食は、居酒屋は厳しく、上期のFFは堅調だった。介護食は順調だが、「伸長率は8月後半から落ち着いてきた」。

〈原料高のイカ・エビ・魚加工品、利益薄くともマーケット維持を〉
マルハニチロの業務用食品部は、17年度は営業一人当たりの生産性を高める方針だが、7月までは4%増と順調だったが、8月後半~10月が悪く、11月からは回復しつつある。大西業務用食品部長は原料高騰が著しいイカ、エビ、骨なし切身の製品対応については、「上期のイカ加工品販売は1%増、エビカツ以外のエビ加工品も1%増、骨なし切身5%増だが、多少の値上げもしているので数量は落ち着いている。この3つの製品群は利益が薄くなってもマーケットから離れることはせず、マーケット維持を図っていく」としている。

また、イカ、エビ、魚の原料高への対応として、鶏肉加工品のアイテムを徐々に強化している。人手不足の対応は、ユーザーへのボイリングパック製品や自然解凍品の提案を強めることにしている。

〈大江工場焼そば7%増・炒飯11%増、「ベジコーディ」好スタート〉
上期の商品面は、大江工場の麺類(焼そば)7%増、炒飯11%増。大江工場では昨年夏に炒飯ラインの設備を増強、今年1月には焼そばラインを改修して生産能力の向上を図っている。春巻(マルハニチロ九州・ヤヨイサンフーズ長岡工場・協力工場)は29%増、広島工場の焼売は一部コンビニが外れ21%減、宇都宮工場マグロ製品7%増、中国の日照・浙江興業・キングフィッシャーの骨なし切身5%増、群馬工場のホットケーキ46%増、ピザ28%減、夕張工場の中華まんじゅうは主に下期の展開、タイN&N製品は上期順調。

17年春の業務用新商品は「なすと肉のはさみ揚げ」「れんこんの肉はさみ揚げ」「あじわい鶏天ぷら」「やみつきガーリックシュリンプ」が好調、秋の新商品は「ごぼうの鶏つくね巻き」「おつまみ鶏皮ぎょうざ」「ひとくちあんこうの竜田揚げ」「オクラの肉詰め」などが好スタート。

「肉と野菜、魚と野菜を組み合わせた『ベジコーディ』シリーズを惣菜向けに9月から販売開始したが順調、10~11月も伸長した」。

〈冷食日報2017年12月18日付より〉