日清フーズ、家庭用・業務用ともプラスで増収増益推移=岩橋恭彦取締役加工食品事業部長

日清フーズ 岩橋恭彦取締役加工食品部長
〈収益面では外部環境に厳しさも〉

本紙は12月下旬、日清フーズの岩橋恭彦取締役加工食品部長にインタビュー取材を実施した。岩橋取締役は、17年度の進捗や18年度の方針等について、要旨次のように述べた。

ここまでの業績進捗は、売上高は家庭用・業務用とも前年を上回っており、特に業務用の方が好調だ。利益面でも、前年を若干上回っている。(2015年から稼働開始した)マ・マーマカロニ神戸冷凍食品工場がフル稼働に近づき、生産効率が向上したというプラス要素がある一方で、原料価格や物流費、人手不足もあって収益面では苦労が絶えず、手放しで喜べる状況ではない。当社だけの話ではなく、業界として需要とは別の意味で厳しさが増している。

家庭用冷凍パスタ市場はここ数年踊り場と言われたが、少し上向きになってきている。さまざまな要因が考えられるが、競合する冷凍米飯が一段落してきたことや、米価が上がっていることなどが挙げられるだろう。平均単価は下がり気味だが、同じものの価格が下がっているというより商品構成が変化している印象だ。高価なお取り寄せ品が売れているなど、価値があるものにはお金を惜しまない傾向にあるが、コモディティは厳しくなっているのも事実であり、商品構成の組み立ても必要だ。当社でいえばアッパークラスの「青の洞窟」はイルミネーションイベントの効果もあって出荷が好調だ。

超もち生パスタ

超もち生パスタ

全体としては春に投入した「THE PASTA」、秋に投入した「超もち生パスタ」が好調で全体をけん引した。

「THE PASTA」は「ソテースパゲティナポリタン」を筆頭としたソテー系商品が特に評価され、調子がよい。

業務用は、外食・中食産業の人手不足を受けて伸長している。従来は人手で作っていたものについて、だれでも作れてオペレーションの標準化にも繋がる冷凍食品を活用するケースが増えている。我々自身の人手不足も大変だが、逆にビジネスチャンスと捉え取り組みたい。

17年度の冷食における重点施策としては、1つは家庭用・業務用とも付加価値のある商品をしっかり作り、販売すること。もう1つは、さらなる市場拡大が期待される業務用に注力し、今春は業務用で「ディチェコ」の冷凍パスタを投入するなど、NBでも新商品をしっかり投入し、品揃えを強化したこと。来春に向けても業務用商品の拡充を図りたい。

 

〈冷凍食品を成長事業と位置づけ来年度も注力〉

来年度については、冷凍食品は引き続き成長事業と位置づけており、家庭用・業務用ともにしっかり伸ばしていきたい。

家庭用は、商品・ブランド・容器包装とさまざまな付加価値を付けた“圧倒的差別化商品”の投入に引き続き取り組む。主力であるワンディッシュのパスタ、お弁当パスタが中心だが、お弁当品は実際には弁当以外の用途でも使われており、そこに着目した商品を投入したい。「青の洞窟」でも新たなカテゴリー商品を投入し、さらなるブランド強化を図る。
また、パスタ以外のカテゴリーとして昨秋に限定チャネルで「チュロス」を投入した。これは価格や売り方を含めブラッシュアップし、近い将来全国販売も考えたい。

チュロス

チュロス

また、パスタ以外のカテゴリーとして昨秋に限定チャネルで「チュロス」を投入した。これは価格や売り方を含めブラッシュアップし、近い将来全国販売も考えたい。

業務用は、PB・留め型対応も多いカテゴリーだが、NBも引き続きしっかりと育成していきたい。

〈冷食日報2017年12月26日付より〉