せき(本社:茨城県ひたちなか市、関孝範代表取締役)の冷凍野菜事業は2005年、石岡工場(かすみがうら市)でJA全農いばらきの事業を引き継ぐ形で始まった。国産凍菜の生産拠点が北海道と九州に集中する中、関東の生産工場として貴重な存在だ。現在は北海道(江別市)にも凍菜工場を稼働しているが、いずれも後発の凍菜工場として、高付加価値商品に軸足を置いて事業拡大を目指している。昨年は茨城産の栗を使った冷凍栗ペーストの生産を開始。さらに今後、家庭用凍菜市場への参入を視野に入れ、設備投資の検討を進めているところだ。

茨城、北海道いずれの工場も地元農産物を原料とした凍菜を製造する。石岡ではほうれん草、小松菜、キャベツ、さつまいも、長葱、きのこなど多品目の生産を、北海道ではカボチャ、人参、玉葱、アスパラ、ブロッコリーの素材品の冷凍加工および各種野菜ペーストの生産を行う。

同社の野菜加工専業としての強みがカットなどの技術力だ。石岡工場ではきめ細かい対応力を生かしたOEM生産を数多く手がけ、「駆け込み寺のような存在」となっている。

石岡工場は生産レベルの向上にも努め、現在は無加熱摂取品の製造が主体となった。ほうれん草、小松菜のほか、果実の冷凍加工にも積極的に取り組み、年々増産傾向にある。一方で従業員の高齢化が大きな課題となっている。工場の人手不足と生産性向上を見据えて今後は、機械化への設備投資を進めていく方針だ。石岡工場では早ければ2020年までに生産設備を増設して、生産能力の2倍増強を図る。

生産能力向上に併せて、業務用にとどまらず「量販店のコンシューマー向け冷凍野菜を手掛けたい」(荒木貴裕取締役)としている。カット野菜に比べ、計画的に原材料調達および生産をしやすく、コスト・製造原価管理の見込みも立てやすいことから、凍菜事業を拡大したい考えだ。

「主婦の野菜の買い方が1個からハーフカット、さらにカット野菜へと簡便商品に変わってきている。生鮮品の代わりとして冷凍野菜の市場性は進む」と見込む。みじん切りや輪切り済みの野菜、冷凍キノコ各種の販売を検討しているという。

茨城、北海道とも現状、生産数量は年間800tほど。ただし茨城は主力のほうれん草が昨年10月の台風によって不作。「春作に期待しているが、年間で2~3割減となる可能性がある」としている。

今後、事業の柱と期待するのが栗加工だ。数千万円規模の投資を行い昨年、栗加工専用の製造ラインを整備した。

茨城は栗の生産量日本一だが、地元に加工業者がなく、栗加工が盛んな九州や愛媛に加工原料として送られていた。遠方への輸送による品質の劣化は避けられず、茨城産の栗は正当な評価を得られていなかったという。

「地元の原料を鮮度の高いうちに加工することで、品質の安定した製品を生産できる」(荒木取締役)。現状は加糖調製品を生産しており、ユーザーは製菓メーカーが多い。今後、無糖商品の開発に取り組み、惣菜メーカーの需要取り込みを図る考えだ。栗ペーストは初年度となる29年産は製品ベースで40tを生産・販売。次年度は150tを計画する。

営農支援にも取り組んでいる。子会社である産地開発を目的とした会社「ニチノウ」(荒木取締役が社長を務める)を立ち上げ、生産者へ種・肥料の供給、栽培指導を行っている。11年に設立して現在、加盟農家は茨城と北海道で30件。同社製品の2割ほどを賄っている。

〈冷食日報 2018年1月30日付より〉