2019年は▽改元▽消費増税▽ラグビーワールドカップと東京五輪直前――という3つの大きな出来事があり、消費の現場でもそれに沿った行動が起きそうだ。そこにテクノロジーの進化もあり、流通業界では、店舗のデジタル化、サブスクリプション市場拡大、体験型売場がトレンドとなる可能性がある――三菱食品の原正浩執行役員マーケティング本部長がこのほど、都内で記者会見し、同社が考える2019年の展望等について説明した。

原本部長によれば、2019年は改元祝賀ムードからの「ネオジャパニズム消費」(造語)が盛り上がると予想。5月1日に予定される新天皇陛下の即位やそれに伴う改元があり、またスポーツ界ではラグビーワールドカップの日本開催、2020年の開幕に先駆けたプレオリンピック・パラリンピックが開催されることなどあり、改元祝賀ムードと「ガンバレ日本!」による「ネオジャポニズム消費」が盛り上がると見る。これに加え、宮内庁御用達商品への注目、平成最後として平成のヒット商品への最注目、5月の大型連休による海外旅行者増加などを見通した。

また、10月には消費増税が実施される予定だが、政府は同時に景気刺激策として軽減税率導入や住宅・自動車購入での減税、キャッシュレス決済でのポイント還元などの施策を検討している。特に、既に各所で話題となっているように、食品業界にとって酒類・外食を除く飲食料品が対象となる軽減税率制度はさまざまな影響を及ぼしそうだ。

そしてもう1つ、注目すべき点として、同社が「1980年以降生まれの成人男女」と定義し、今年20~38歳の「ミレニアルズ」の消費動向を挙げる。原本部長によれば、ミレニアルズはこれまでと違った価値観を持ち、デジタルネイティブでネットとリアルを使い分けるとともに、多方向へ影響力を持ち、これまでのヤング・ミドル・シニアの区分では括りきれない層だという。

これらの生活者環境の変化に▽画像認識▽VR・AR▽電子タグ▽モバイルネットワークの5Gサービス――等のテクノロジーの進化が加わり、流通業界においては店舗のデジタル化、サブスクリプション市場の拡大、体験型売場がトレンドになると予測する。

「店舗のデジタル化」については、小売店が抱える客数伸び悩み、出店難航、人員不足といった問題を解決する1手法として、テクノロジーを駆使した新たな業態の出現を予測。スマホ自動決済や顧客の買い物行動のデータ化など、リアルとネットの買い物の垣根を無くすような店舗のデジタル化が進むことで、店舗の側には省人化・省力化による利益増、生活者の側にはリアルとネットの融合による快適な顧客体験というメリットが生まれるという。また、こうした動きは、ミレニアルズの価値観・特徴にも合致したものだとした。次に「サブスクリプション市場の拡大」。サブスクリプションとは、商品やサービス単体に料金を支払うのではなく、月額制などで商品者サービスが利用できるもので、既に自動車、洋服、コスメ、映画等、さまざまな業界で月額制のサービスが開始されている。これは「所有から利用へ、販売から関係作りへ」という、モノが売れない時代の新しいマーケティングであるとともに、ミレニアルズの価値観・特徴にも合致したものであるという。食品流通においては、月額制でミールキットが送られてくるサブスクリプション的なサービスの拡大を予測。買い物いらず、献立いらず、食材の余りなしで、手軽にレストランのような料理を作れることも付加価値となりそうだ。

「体験型売場」については、AR を使ったシミュレーション等の体験型空間や、最新のトレンドを実感できるような空間を活かし、「モノ」から「コト」へという生活者のニーズにフィットした売場が、ミレニアルズの価値観・特徴を押さえたものとして出てくることを予測。また、実店舗で見た商品をネットで買うという購買パターンに対応した、ネットとリアルを融合させた取組みも必要となってきそうだという。

〈冷食日報 2018年12月28日付より〉