〈冷食流通インタビュー・小売〉近商ストア、19年3月期は1月まで3.3%増と好調、来期は健康基軸の商品を導入

近商ストア商品第一部日配食品グループバイヤー・八尾井美和氏
――今期(19年3月期)の冷凍食品の進捗は

1月までの累計で前年比3.3%増と好調だ。しかし、9月までの前半が8.2%増と好調だったものの、10~1月は3.2%減と不振が続いている。要因については、はっきりとわからず、1月に入って価格訴求を強めているが、戻っていないのが現状だ。とはいえ、年越し蕎麦など、イベント時には、商品は売れる。こちらから、提案していくことが重要であろう。

カテゴリー別では、スナック11.8%増、弁当7.4%減、米飯2.1%減、麺5.3%増、和風28.3%増、中華9.4%増、洋風9.1%減、野菜6.4%増だ。ここ数年市場をけん引した米飯は一巡した感があり、減少傾向となっている。一方で、価格訴求しやすいスナックは、販促を強化することで伸長傾向だ。

麺はテーブルマークの玉麺が依然好調だ。キンレイの「お水がいらない」シリーズも良い。また、一時期落ち込んでいたパスタも回復傾向にある。冷凍食品の日で前面に打ち出したことなどで、徐々に売り上げは戻ってきている。特に「オーマイ 具の衝撃」シリーズは便利なトレー入りに加え、これまで具材の多いパスタ類の商品が少なかったため、好調に売れている。一方で、唐揚げ類の商品が増えたこともあるが、味の素冷凍食品の「やわらか若鶏から揚げ〈じゅわん鶏もも〉」はパッケージを一新したことが裏目に出てあまり伸びなかったように感じる。

大容量の米飯や唐揚げなどはアイテムも増え、面として打ち出しやすくなった反面、価格面で安さを大きく打ち出しにくく、苦戦しているという印象もある。

――今期の取り組みについて

EDLPに加え、「冷凍食品の日」やカード会員には冷凍食品10倍ポイントデーを実施することでお客の認知を広めるようにしている。しかし、やはり新たな競合となりつつあるドラッグストアほど安く売れないのが現状だ。しかも、以前と違って、同業態も最近品ぞろえを増やしつつある。新たな商品や、健康訴求などで差別化を図りたいのだが、十分な売り場の面をとれていないのが現状だ。

リーチイン導入店舗の比率は、全店(37店舗)のうち32%となっており、順次、改装の際に切り替えを行なっている。やはり必ず伸びる分野ではあるので、冷凍食品自体を強化すべきだとは考えている。

――おつまみ系など新たなカテゴリーの商品について

お客はやはり定番に手を出しやすいようで、なかなか食シーンにつながりにくいというのが現状だ。話題になった、「切れてる!サラダチキン」も同様だ。メニュー提案や試食提案をより頻繁に行っていく必要があるだろう。

一方で、NB商品ではない、惣菜系の珍しい商品にも興味はある。売場面積を考えると現状では難しいが、今後は品ぞろえの充実・差別化という意味でも、取り扱いを考えていきたい。
 
――来期以降の取り組みは

健康を基軸とした商品(糖質コントロール)として「からだシフト」シリーズ(三菱食品)の導入を検討している。これまでも糖質コントロールの商品はあり、試験販売を行っていた時期もあったが、「あまりおいしくない」というイメージで定着しなかった。

今回のシリーズは、緑を基調に統一したパッケージで、商品もたこ焼やギョーザなど、冷凍食品で購入頻度の高いメニューが多い。先行して販売している加工食品の同シリーズを既に購入したことのあるお客や、糖質コントロールに興味のあるお客を、冷凍食品コーナーに呼び込みたい。

こういった健康訴求の商品のほか、より簡単なワンプレート型の商品が、様々なカテゴリーで増えてくるように思える。

簡単で便利な冷凍食品だが、いまだに購入したことのない方も多い。需要拡大は大きな課題であり、同時にチャンスでもある。朝・昼・家飲みなどの食シーンに合わせたメニュー提案を行い、新たな顧客を獲得したい。

〈冷食日報 2019年3月6日付〉