新元号「令和」が発表された4月1日、森永製菓は東京・渋谷駅前で「号外ハイチュウ」を配布した。同社の法人向けサービス「おかしプリント」で製作した1,000個が15分でなくなったという。

新元号発表直後の各種メディアの狂騒で、新元号の話題が消費し尽くされた感もあるが、カレンダー業界をはじめ改元消費を盛り上げるマーケットの仕掛けはこれからが本番だ。日清食品は改元に合わせて5月1日から「カップヌードル 新元号記念パッケージ」を、アサヒビールはスーパードライの改元デザイン商品を発売すると発表している。冷食業界でも令和の「れい」の音が共通するだけに、何かしら改元販促が行われるだろう。

一方で改元を間近に控えて、各種メディアを通じて平成を振り返る機会も増えそうだ。ニチレイの大櫛顕也社長は2日の記者会見で次のように平成を振り返っている。

「私は昭和63年入社で、平成になってからずっと冷凍食品の製造・販売等に従事してきた。入社当時は作るものがないような状況だった。1990年に入りいろいろな商品が出てきて、一気に冷凍食品が脚光を浴びて、レンジ調理や炒飯など新しい商品をニチレイ独自の価値として市場に出せたことはよかったと思う」「素材や原材料、副原料、生産設備、検査設備――など、かかわった企業が2000年に入ってからものすごい勢いで変わってきた。あらゆるものが新しい価値を高めたことでメーカー各社の技術の進歩があったと思う」

ニチレイフーズの竹永社長も同じ記者会見で「私は平成元年に入社してちょうど30年になったところだ。冷凍食品は平成前に学校給食から始まり、家庭用冷食は電子レンジの普及とともに急激な成長路線を遂げてきた。はじめは簡単・便利という価値が一番だった。それをおいしいという価値につなげて今がある。業務用には人手不足という深刻な問題が出てきている一方、いろいろなメニューを食べたいというお客様の声もある。これに細かに対応して伸びてきた。平成の、特に後半は成長を遂げてきた時期だと思う」と同じように振り返った。

両社長のキャリアは平成の冷凍食品業界とともにあった。日本冷凍食品協会によれば、冷食の国内生産量が100万tを超えたのが平成2年、その9年後の平成11年には150万tに達した。電子レンジの普及を受けてレンジコロッケが発売されたのが平成6年、自然解凍の調理冷食の誕生は平成11年、「本格炒め炒飯」やレンジピザは平成13年だ。昭和とは全く異なる形になった平成の冷食市場。令和という時代にどのように変わっていくのだろうか。

ニチレイ大櫛社長は「次の新しい価値をどのように冷凍食品やサービスに乗せていくかが、令和という新しい時代の私たちの課題だ。おいしさや安心安全はいまや、お客様には当然と思ってもらっている。その先にどんな付加価値がついているか、健康などキーワードはあるが、お客様の期待を超えるものを提案できるかがカギになる。トップメーカーとして恥ずかしくない、市場を引っ張っていくような商品を出していきたい」と力を込めた。

ニチレイフーズの竹永社長はより具体的に次のように話した。「令和の時代は家庭用、業務用の枠がなくなっていくのではないか。加工度もいろいろな形をお客様は求めてくるだろう。素材や料理キットでも冷凍食品に期待してもらっている。家庭用と業務用が融合して新たな商品が出てくる時代になる。そこにうまく移行させ、お客様のニーズを読み取って価値を出していく勝負になる」。

改元消費とは異なる時間軸で市場を見つめ、冷食トップメーカーとして業界を引っ張ってほしい。

〈冷食日報 2019年4月8日付〉