いなげやは6月21日、神奈川県川崎市に「いなげや川崎京町店」(川崎区京町)をオープンした。元々は物流会社のあった場所で、周辺には買い物できる場所は少ないという。今回の店舗は、近隣住民の期待の表れか、開店時から多くの人が並び、入場規制を行わなければならないほどだった。冷凍食品は、近隣に働く世帯が多く住むため、品数を拡大して視認性の高い場所に売り場を配置した。年商は20億5,000万円を目指す。

「いなげや川崎京町店」の周辺世帯数は、500m圏は7,922世帯1万6,628人、1km圏は3万627世帯6万749人が住む。世帯人員は約2.0人。人口世帯構成は神奈川県の平均と比べ、25歳から49歳の割合は4.8ポイント高い40.1%、65歳以上は3.1ポイント低い23.9%となっている。

場所は、京浜急行の「鶴見市場駅」か南武線の「川崎新町駅」が最寄り駅で、どちらも徒歩で約10分かかる。バス網の発達した地域で、近隣の人は「川崎駅」や「鶴見駅」に向かう便を利用することが多いという。そのため、休日は駅近くの商業施設の利用が増えるという。しかし、平日は自宅近辺での買い物が増えると想定し、惣菜や冷凍食品など簡便性の高い商品を充実させている。

商品別では、冷凍食品は約280アイテムをそろえる。惣菜や弁当などのコーナーと地続きに配置されており、個食関連の商品が充実している。同社では30~40歳代を第一ターゲットとし、支持を得られる商品の充実を図っている。その中で、近隣エリアでは有職女性らの多さから簡便需要が高いと想定して「目立つ位置に配置し、アイテム数も拡大した」(守屋正人上席執行役員販売本部長)。冷凍野菜や果物は、青果コーナーに置かれており、特にフルーツはスムージーなどで人気も高いため品ぞろえを充実させている。

EDLP(Every Day Low Price=年間を通じた低価格販売)戦略により、同社の冷凍食品の売り上げは「10%ほど下がった」(守屋上席執行役員)という。それでも「便利だと思って利用が増えれば、売り上げも伸びる」と期待を寄せる。
「いなげや川崎京町店」冷食売場

「いなげや川崎京町店」冷食売場

惣菜は約270アイテムを並べる。同社ではデリカ販売で揚げたてや出来たての商品提供を行うために「11~13時まで」「16時以降」「18時以降」の3つの時間帯で、それぞれ異なる来店客に合わせた商品の投入に力を入れる。守屋上席執行役員は「シーズンによって変わるが、おかずは4時以降、米飯は11~13時までに充実させるなど、基本の話がメインになる」と話す。
 
〈「買い物の不便な地域」からの期待〉

開店当日に開かれた記者会見で、成瀬直人社長は「周辺には競合店が少ない。売り上げは取れるのでは」と自信を見せた。
 
周辺には地場のスーパー「ヒルママーケットプレイス」や「マルエツ」「ライフ」などがあるが、他は川崎駅や鶴見駅の周辺に集中している。各店とも距離が離れており、買い物の空白地帯のようになっていた。成瀬社長も「買い物の不便な地域だったのかもしれない」と語る。
 
実際、同日朝9時30分の開店には多くの人で列を成しており、11時を過ぎても入場規制を止めることはできなかった。店舗のテナントには洋服店や100円ショップ、美容室などもあり、買い物に不便さを感じていた人にとっては待望の店舗だったのかもしれない。
 
成瀬社長は「投資はかかったが、駐車場や駐輪場もしっかりとスペースを取っている。とても良かった」と笑みをこぼした。
 
〈冷食日報 2019年6月24日付〉