ニチレイフーズの竹永雅彦社長は12月10日のニチレイグループ年末会見で、当19年度からの3カ年中期経営計画「WeWill2021」の初年度進捗と施策について説明。「サステナブルな成長への基盤を整え、今中計最終年度である2021年度売上高2,630億円、営業利益187億円という高い目標の実現に向けてまい進する」と意気込んだ。会見の中でミールキット市場へ向けた商品開発を進めていることも明かした。

中計の施策について「当社が100年成長し続ける企業ことを見据え、社会そのものを良くしていこうとする事業成長が不可欠。つまり収益基盤強化に向け、お客様満足による経済的価値を追求しながら、社会・環境課題を解決する社会的価値も同時に高めていけるよう、事業展開していくことが重要」と中計の方向性を示した。

経済的価値の追求として〈1〉国内の戦略カテゴリーの更なる成長と〈2〉北米を中心とした海外での成長の2つのテーマを、社会的価値の実現として〈1〉持続可能なサプライチェーンの構築〈2〉フードロス、環境負荷の低減を、掲げている。戦略カテゴリーであるチキン、米飯、農産品について取り組みを具体的に説明した。

チキンは「この10年間で売上高は2倍以上に拡大した」という。2010年、タイのGFPT ニチレイ(GFN)の稼働とともに拡大。スラポンニチレイフーズ(タイ)生産の家庭用「特から」は発売後1年でカテゴリーNo.1となった。

GFN は社会的価値の実現を見据え、原料から加工品までのフルインテグレーションが特徴だ。羽根・骨は粉砕して魚の飼料にし、内臓はタイ国内で内販するなど、廃棄ロスの少ない持続可能な仕組みづくりに取り組んでいる。

2020年秋頃の稼働を目指し、GFN 第2工場の増設を進めている。

国内のチキン加工工場では「鶏肉の原料選別において、高精度に識別できるAI 技術の導入を進めている」。大幅な省人化を図れ、良品廃棄によるフードロスを50%削減できるという。この選別に係るAI 技術は鶏肉以外に焼おにぎりやミニオムレツなどアイテムを広げている。米飯も「チキン同様に年々成長している」分野。ただ「伸長している冷凍米飯市場だが、国内米飯消費全体から見ると構成比はわずか数%に過ぎない」として、今後も成長の伸び代が大きい見込む。

米飯事業における環境負荷の低減については、稼働燃料の電気化が進んだことでCO2排出量が約60%削減され、工場廃棄物のリサイクル化率はほぼ100%を達成しているとした。

農産について「今中計におけるスローガンは新素材・新付加価値・新産地――の3つの“新"」と説明した。新素材としては今秋、「そのまま使える」シリーズから外食中心に人気のある西洋野菜のロマネスコなど3品を発売。「今後も品ぞろえの幅を強化していく」。

新付加価値について「肉や魚と冷凍野菜、といった多品種のアッセンブル機能の構築を進めている」。国内でミールキットなど具材とタレをセットにした商品の要望が高まっているとして、早ければ来年の商品展開に向けて開発を進めている。家庭用や宅配、業務用のいずれにも対応できるとして、ニーズを探っていく。課題は小袋にすることで上がるコストの調整という。新産地について「冷凍野菜の旺盛な需要に対応するため、新産地開拓に動き出している」とした。インドやミャンマーなどのアジア地域、南米、欧州などで品種や土壌の調査を開始、新原料の調達と安定供給体制を目指す。

第2のテーマである海外成長について、北米を中心にアジアンフードの新メニュー、個食化、高品質化に取り組んできた。イノバジアン・クイジーン社(米国)は2012年のM&A 以降、年平均10%の成長を続けている。今期はプロモーションを強化し、未利用者を開拓。イノバジアン・クイジーン社の今年度売上高は150億円、海外事業トータルで337億円を見込む。

持続可能なサプライチェーンの構築について、同社は責任ある原料調達の実現を目指し、Sedex(サプライヤーエシカル情報共有プラットフォーム)のグローバルメンバーシップに加盟した(19年7月)。労働基準、健康と安全、環境、ビジネス倫理の4領域の情報を会員間で共有することで「世界各国のサプライヤーと相互理解と信頼関係を醸成し、責任ある調達活動を進めていく」とした。

〈冷食日報 2019年12月13日付〉