〈商品政策・値上げが奏功も、保管物流コストにさらに対策必要〉
本紙「冷食日報」では2019年末に実施した、主要冷凍食品メーカー28社のアンケートおよび直接取材の回答をまとめた。それによれば19年度の冷食メーカー各社の売上高は8割以上が前年を上回る推移ないし見通しとなった。利益面についても前年の苦戦からの回復が顕著だ。次年度の冷食市場にも成長期待が続くなか、商品政策・販売政策においては、健康視点の商品開発に新たに挑戦するメーカーも増えそうだ。

〈2019年度売上(見込み)〉
主要冷食メーカーの19年度売上高の前年度増減比について、〈1〉前年割れ〈2〉0~1%未満の増加〈3〉1~3%台の増加〈4〉4~6%台の増加〈5〉7~9%台の増加〈6〉10%以上の増加――の6つに分類すると、有効回答26のうち最多は「0~1%未満の増加」で9(34.6%)となった。次いで「1~3%台の増加」は5(19.2%)、「前年割れ」と「4~6%台の増加」がともに4(15.4%)、「7~9%台の増加」と「10%以上の増加」がともに2(7.7%)となった。

前年の調査結果は「4~6%台」「10%以上」がともに22.2%で最多。次いで「1~3%台」と「前年割れ」がともに18.5%、「0~1%未満」が11.1%、「7~9%台」が7.4%だった。0~1%未満の増加(微増)の割合が前年比で23.5%ポイントと大幅に増加した一方で、7%以上の大幅増収が14.2ポイントと大幅に減少した。1~3%の増収がほぼ前年と同水準で、前年割れの割合は前年を3.1ポイントとわずかに下回る結果となった。

成長鈍化が見られるものの、高齢化と世帯構造の変化、女性の社会進出の進行に代表される消費現場の環境変化や、人手不足や労務負担軽減の社会的要請など調理現場の環境変化から、下処理済みないし調理済み食品の需要拡大という潮流が強まっている。一方でこの19年度は10月の消費増税と軽減税率の導入、東日本では台風の直撃や水害に見舞われる事態が起きた。

消費マインドの低下が懸念されたが、結果的に消費増税と軽減税率は外食にマイナス影響が見られたものの、家庭用や中食にプラスに働き、消費増税について冷食業界に全般的に大きな影響はなかったとの見方が強い。台風影響では小売業の計画休業があったことも影響してか、家庭用冷食には特需も見られたようだ。

また家庭用については特に「4月の冷凍食品総選挙放送以降、テレビをはじめ雑誌・Web などで冷凍食品に関する企画が増えた」とテレビ番組の宣伝効果が市場に刺激を与えたとの指摘が複数見られた。

〈2019年度利益(見込み)〉
主要メーカーの19年度の利益面について、有効回答19社のうち前年度比で「上回る」としたのは12(63.2%)と多数派を占めた。前年調査(35.0%)よりも28.2ポイント改善した。「前年並み」は4(21.1%)で前年よりも13.9ポイント減少。「下回る」は3(15.8%)で前年よりも14.2ポイント改善(減少)した。原材料コストや保管・物流コストの上昇をうけて、家庭用では18年春から19年にかけて、業務用では19年春に多くのメーカーが値上げを実施した。
2019年度冷食利益増減見込み

家庭用ではメーカー各社が順次、基幹商品を中心に値上げを実施したが、各社の価格戦略もあり市場が堅調に推移したことがプラス要因となった。業務用においても、当上半期は減収で推移している企業を含め、多数の企業が増益となった。もっとも今後、保管・物流コストの増加がさらに進むとして、もう一段の対策が必要とする向きもある。
 
〈冷食日報 2020年1月8日付〉