ニチレイフーズが“冷食で豚カツメニュー”の確立に挑戦、「極上ヒレカツ」など提案/2020年春季新商品

ニチレイフーズ「極上ヒレかつ」と「梅しそささみ天」
ニチレイフーズは2020年春季新商品として、家庭用ではいまだ冷食売場で定番の地位を確立できていない豚カツに、箸で切れる柔らかさを実現したこだわりの「極上ヒレかつ」を提案した。業務用では野菜たっぷりの惣菜が簡単にできるキット商品として「Vegedelica(ベジデリカ)」を提案。惣菜の調理現場での人手不足からキット惣菜の要望が強いとして、需要を見込む。

〈家庭用、箸で切れる「極上ヒレかつ」 製造工程にプロの技、「梅しそささみ天」はうどんのトッピングに〉
家庭用では冷食で新商品12品、リニューアル17品、常温食品で1品を、一部商品を除き3月1日に発売した。

家庭用の一押しが「極上ヒレかつ」(4個入180g)だ。こだわりは肉の下ごしらえと生パン粉、二度揚げ調理の3点となる。

下ごしらえは専門店の工程にならい、一晩寝かすことで柔らかな肉質と肉の旨みを引き出した。パン粉には生パン粉を採用。軽い食感の焙焼パン粉と剣立ちの良い電極パン粉の2種類をブレンドした。揚げ工程でも職人の手法にならい、最初にじっくり火を通し、2度目で衣をサクッと仕上げた。

宮川浩幸家庭用事業部長は「豚カツは外食での喫食率が高く、自宅の調理メニューの代表格でもあったことから、冷食にとって難しいカテゴリーだった。今回は値ごろ感も加味して、外食や中食と比べてもメリットを感じてもらえる商品が出来た」と自信をのぞかせている。

3月2日には「極上ヒレかつ」ブランドサイトも公開しており、CMの展開も予告している。戦略カテゴリーであるチキン、米飯、冷凍野菜について。チキンでは新商品として「梅しそささみ天」(250g)と「なんこつ入り鶏つくね」(210g)を発売する。

「梅しそささみ天」は食卓のおかずメニューで、うどんとの相性も良い。「近年、うどん店でとり天が身近になっている。加えて、家庭内でうどんを喫食する際に冷凍品を使う頻度が増えている」という背景がある。

「なんこつ入り鶏つくね」は専門店の味を再現するため、工場で一つひとつ専用の筒を使って形を整えている。肉はふわっと柔らかく、コリコリした軟骨とのコントラストが楽しめるのが特徴。

米飯では「本格炒め炒飯」の改良を継続。今回は香ばしい卵の風味を追求した。また新商品として和風の「梅ひじきごはん」(430g)を発売する。パスタやうどん、ラーメンなど主食系の冷凍食品で唯一、50代・60代の購入金額構成比が伸びているのが米飯だとして、今後、伸長余地が高い世代の獲得を狙った商品だ。

「なんこつ入り鶏つくね」「梅ひじきごはん」

「なんこつ入り鶏つくね」「梅ひじきごはん」

ワンハンド米飯の「まぁるい焼」には新商品として「塩だれ肉めし」味を投入する。冷凍野菜には袋ごとレンジ調理できる「レンジでおいしい!えだまめ」(120g)を発売。既存の「レンジでおいしい!ポテト」と店頭併売を狙う。タイ産。またサラダ市場に向け「そのまま使えるグリーンアスパラ」(150g)を新発売する。中国産。

「レンジでおいしい!えだまめ」「そのまま使えるグリーンアスパラ」

「レンジでおいしい!えだまめ」「そのまま使えるグリーンアスパラ」

「冷凍野菜は年々大きく売り上げが伸びているが、売上の約半分を枝豆、ポテト、ブロッコリーが占めている。さらなる飛躍にはこのような喫食頻度の高いメニューでの新しい提案が必要」(宮川事業部長)というのが開発背景にある。
 
弁当商品も12月に先行発売した「たっぷり野菜の和風ハンバーグ」のほか「ベーコンポテマヨ焼」「たまごコロッケ」など合計4品をそろえた。

「たまごコロッケ」「たっぷり野菜の和風ハンバーグ」

「たまごコロッケ」「たっぷり野菜の和風ハンバーグ」

弁当を作る人の約7割が冷凍食品を週1回以上使用していが、ハンバーグやから揚げなど肉類が多く、おかずのマンネリ化が生活者の課題となっていることから、サラダ感覚の新しい惣菜を提案する。
 
常温商品の新商品として、焼き肉などのメニューに合う、2人前の「ビリ辛ユッケジャンスープ」を発売する。「肉をしっかり摂ることで健康を維持できる認識が広まり、シニア世代の肉消費が堅調」であることが開発の背景にある。
 
〈宮川浩幸家庭用事業部長のコメント〉
冷凍食品の市場規模は今年度も過去最高を更新すると予想される。食品の中で数少ない伸長カテゴリーとして期待され、注目されている。

ニチレイフーズ・宮川浩幸家庭用事業部長

ニチレイフーズ・宮川浩幸家庭用事業部長

当社ではそのような生活者の期待を“日本の食卓へ冷凍食品のできること。”というスローガンを掲げ、2つの事業テーマである「力強いカテゴリー政策の推進」と「新規需要創造への挑戦」によって応えていく。
 
「力強いカテゴリー政策の推進~おいしさの価値~」においては、米飯・チキン・冷凍野菜を戦略カテゴリーとして提案を進める。手作りできないおいしさをコンセプトに、プロの技を再現することで冷凍食品の価値向上を図る。
 
「新規需要創造への挑戦~新しい価値~」においては、冷凍食品で確立できていない豚カツメニューに挑戦する。喫食頻度の高い王道のおかずを当社こだわりの技術で仕上げ、旺盛な食卓需要に応えられる新カテゴリーを育成していく。
 
米飯カテゴリーには不足しがちな栄養をサポートできる新商品を発売する。だしをきかせてしっかり味を付けることで、おいしさと栄養を両立し、米飯カテゴリーで獲得し切れていないシニア世代の需要獲得を狙う。
 
〈冷食日報2020年3月12日付〉