業務用冷凍食品は2019年10月の消費税率引き上げを前に2019年3~4月にかけて多くのメーカーが製品値上げを実施したが、今期第3四半期(4~12月)の各社の実績は堅調に推移した。
業務用冷食市場は外食や中食、給食の調理現場における人手不足が引き続き深刻であることから、オペレーション負担軽減のために、自然解凍の調理品やカット済みの素材品の需要が伸びている。またホテル業態の好調な稼働から、朝食ビュッフェ向けの商品も堅調に推移していた。堅調な市場に加え、東京五輪開催によるインバウンドの拡大を見据え、今春の新商品において各社踏み込んだ提案も目立った。
業界トップのニチレイフーズは冷凍野菜を中心にした、簡便でロスの出ないキット惣菜「Vegedelica(ベジデリカ)」を新提案した。日本水産とマルハニチロはともに原料調達に強みがある水産系の新商材で差別化を図っているのが注目だ。
味の素冷凍食品はホテルビュッフェの需要が高いケーキ類を拡充。新たにベジタリアン向け惣菜のシリーズ展開も始めた。テーブルマークもケーキ類や焼成冷凍パンを拡充。日東ベストもビュッフェメニューを拡充しているところだ。
インバウンド需要を狙った分野は、今まさに不透明な先行きに直面している。一方で量販店惣菜においても、バイキング形式の販売が自粛されるなど末端の変化が起きている。先行き不透明な社会経済環境から、逆風の業務用市場に立ち向かう戦略が求められている。
〈冷食日報2020年3月25日付〉
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