日清食品冷凍 ブランド訴求を強化、特徴的な商品で麺類市場は大幅に拡大

日清食品冷凍・吉田社長
日清食品冷凍の今秋のマーケティング戦略は、単品力の強化からブランドの面展開を目指す。

「巣ごもり消費」の拡大で冷凍麺の需要は急速に拡大した。同社でも一度浸透した冷凍麺を今後も継続して購買してもらうために、供給体制の強化や休売品の再発売、秋の新商品投入で、冷凍麺の利用をより促していく。

同社によると、2019年度の家庭用冷凍食品市場は前年比4%増の5,406億円となった。麺類(弁当を除く)は9%増の1,061億円となっている。家庭での喫食回数増加で大きく市場は伸長した。冷凍麺は全ジャンルで伸長しており、ラーメンは11%増、パスタは10%増、和風麺は7%増となった。

ラーメンカテゴリーの構成比は、汁なしは21%、汁ありは79%となっている。

パスタ類は、レギュラー品は前年と同等だった。しかし、生パスタは12%増、BIGは9%増となった。構成比は、レギュラーは48%、生パスタ23%、BIG29%となった。

和風麺は玉うどんが9%増で、個食うどんは4%増だった。

特に個食冷凍麺は、「一気に10年分以上の浸透が進んだ」(同社担当者)と話す。個食商品への需要増や、保存性、簡便性の3つのニーズが高まっており、初めて冷凍麺を喫食した人も少なくなかったという。そのため、「冷凍食品は手抜き、という印象を薄れさせ、“冷凍食品は便利”と考える人も増えたのでは」と担当者は話す。

今後も冷凍麺を各々の食シーンに取り入れてもらうべく、ブランド強化と認知度向上に力を注ぐ。

7月31日に開かれた会見で、日清食品冷凍の吉田広之社長は、今回の需要増について「個食商品は在宅勤務や(学校の)休校で子供の昼食や軽食など、巣ごもりに適したためと思う」と話す。また、「予期せぬことで大きなトライアルが起きた。おいしさや簡便性を知っていただくことができたと思う」と語った。

中でもコンビニ利用者が冷凍食品を初めて使うケースも多かったという。男性や比較的若年層の利用も増えた。

今年は売り上げが急増したため、一部商品は販売休止となった。休売商品は13品で、今春発売のオリンピック関連商品3品は終売にした。秋冬から6~9品を復活させ、残り4品も体制が整い次第も復活させる考えだ。

価格戦略は今までと同様に中価格帯中心の提案を続ける。

また、単品売上が10億円を超える商品は「冷凍 日清もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ」、「冷凍 日清中華 汁なし担々麺 大盛り」、「冷凍 日清具多 辣椒(ラージャオ)担々麺」、「日清スパ王プレミアム ブロッコリーの入った海老のトマトクリーム」の4品。また、「冷凍 日清の関西風お好み焼 ぶた玉」と「いか玉」の2品を合計すると10億円を超えている。

同社は9月1日に、新商品8品を発売する。お湯を使わないちゃんぽんや、渡り蟹の身を使ったトマトパスタなどを投入する。巣ごもり消費の影響で冷凍麺を筆頭に冷凍食品の需要は高まっている。新商品などでブランド認知を一層高めていく。

「冷凍 日清炒め技 皿ちゃんぽん」は、お湯を使わずにちゃんぽんを楽しめる商品。炒め野菜の香ばしさと魚介のうまみが溶け込んだ濃厚スープと、もちっとした食感の太麺が織りなす一体感が楽しめる。具材は9種類で、オイスターソースで炒めたキャベツとタマネギのうまみがスープにコク深さを加える。

「冷凍 日清スパ王プレミアム 蟹の濃厚トマトソース」は、渡り蟹の身をソースに混ぜ込み、蟹の旨みをギュッと詰めこんだ濃厚なトマトソースが特徴の商品だ。

〈冷食日報2020年8月5日付〉