日本水産、効率的な「攻めと守り」で価値創造と変革実現へ/2020年度食品事業方針

日本水産・梅田浩二取締役執行役員
日本水産は8月5日、専門紙向けに食品事業説明会をオンラインで開催し、2020年3月1日付で浜田晋吾専務の後を受けて食品事業執行に就任した梅田浩二取締役執行役員が食品事業の方針や業績などを説明した。

2020年度の食品事業方針は、スローガンを「新たな価値創造と変革を実現するために効率的な『攻めと守り』を実践しよう!」とした。

「攻め」は、成長分野等での事業拡大を指し、
▽中食
▽健康
▽既存商品チャネル
▽海外
▽凍菜
▽調味料
――といったカテゴリーを挙げ、配荷率アップの取り組み強化や顧客との積極的な接点拡大を進めていく。

「守り」はどちらかというと内向きの分野の質を高めることを指し、
▽生産性
▽各種指標
▽原料
▽広告宣伝(TVCM)
――といったカテゴリーを挙げ、販売経費・物流費・在庫管理の徹底および営業マンの個人別得意先別「限界利益管理」の強化を図る。

このうち「健康訴求」「即食・簡便」分野の強化カテゴリーとして、国内では、「今日のおかず レンジでできる」シリーズの具材入りキット、もち麦入りおにぎりシリーズ、減塩技術を活かした「減塩ほうれん草3種のおかず」等の冷凍食品、白身魚たんぱく質を手軽にとれるちくわ等ねり製品や水産品の「おさかなミンチ」、骨なしで解凍してそのまま食べられる水産品の「ふっくら切身」シリーズなどの商品群を挙げた。また、欧州ではシテマリンの野菜パテ、ケイスターの下処理済チルド食品、北米ではゴートンズのレンジ調理シュリンプリゾットやグルテンフリー水産調理品、K&P の簡単オーブン調理シーフードケーキといった商品群を挙げた。

また、冷凍野菜事業では、既存商品に加え中食・外食需要の拡大に対応。新規商品では、他社品との差別化が図れる緑色が濃く葉の割合が高い「ヨーロッパ育ちのほうれん草(ミニブロック)」や、「パパっとベジ」シリーズの自然解凍品の拡充、「置くだけフロチル枝豆」など用途・温度帯の拡大を図る。

また、広告宣伝では、TVCMの効果測定方法を検討中で、より的確なCM投入等につなげていく。

〈第1四半期はCVS 向けチルド事業苦戦、他の食品事業計はほぼ前年並〉
8月3日に開示した第1四半期の連結業績で、食品事業の売上高は前期比4.5%減、営業利益が7.2%減30億円と減収・減益となった。ただ、1~3月分を連結する海外は、ヨーロッパは増収・増益、北米も増収・営業利益前年並で、日本が連結調整前の金額で売上高92億円減772億円、営業利益が2億円減17億円と落ち込んだ。

ニッスイ単体(国内)での食品事業の第1四半期業績は、売上高前年比8%減。ただ、チルド事業の売上高が21%減と大きく減っており、それを除く食品合計売上高は1%減とほぼ前年並で収益も増益だった。

内訳は家庭用冷凍食品が売上高3%増で増益。特に凍菜14%増、惣菜44%増、米飯17%増が好調だった。家庭用加工品が売上高3%増で増益。特にちくわ、かに棒・フレークが15%増と好調だった。常温食品は売上高5%減で減益。3月・4月の買いだめ需要の反動で5・6月が不調となったほか、青物缶フィーバーの一服が影響した。業務用食品は売上高11%減で減益。外食・観光・産学給ユーザー向けが苦戦した。売上高21%減のチルド事業は納入先のCVS がオフィス・観光地で大幅影響を受け、特に同社の主力であるおにぎり・米飯類の影響が大きく大幅減となった。ただ、業務用・チルド事業は6月以降、回復傾向にあるという。

なお、家庭用冷食・加工品は一時生産が追いつかずアイテムを絞って供給対応した。

中野博史家庭用食品部長によれば、家庭用冷食の月別概況は3月に前年比30%増を超えたが、4~5月は前年同期も高伸長だったためそこまでは伸びず、6月は落ち着いているという。また、休校・テレワークの影響で当初弁当品が不調で、第1四半期累計で5%減となったが、6月以降は戻り始めてきているという。

金澤建支業務用食品部長によれば、業務用食品は全体としてゆるやかな回復傾向にあるという。チャネル別で外食は6月以降持ち直したが、7月のコロナ感染再拡大で鈍化傾向。給食は、学校給食が休校で第1四半期苦戦したが、8月にも給食が実施されることで数字が上乗せになる。デリカは7月には持ち直し、前年並程度に回復しているという。

〈冷食日報2020年8月7日付〉