伸長するテイクアウト・デリバリー、外食大手は取り組み強化、中小店では手探り状態

コロナ禍でデリバリーに注目(画像は出前館のデリバリー)
テイクアウト・デリバリーの需要は以前と比べ大きく高まった。新型コロナウイルスにより生活様式は大きく変化し、外食機会は大きく減少した。一方、家で過ごす時間をより豊かにしようというニーズは高まっている。大手外食チェーンはデリバリーやテイクアウトの取り組みを進めているが、小規模チェーンなどは取り組みを進められるのか。

新型コロナウイルスは外食産業に大きなダメージを与えた。日本フードサービス協会によると、6月の全店売上高は21.9%減となった。3~5月より影響は薄れたが、売上の減少は大きい。

その中で、大手外食チェーンを筆頭に、テイクアウトやデリバリーを強化する動きが見られる。元々、中食・内食の需要は近年、伸長していた。2019年10月の消費税増税後にも市場の拡大は進んだが、今回の新型コロナでこの傾向はより顕著になった。

冷凍食品関連メーカーでも、新型コロナウイルスの影響で、業務用冷凍食品の売上は3月頃から大幅に落ち込んだという。6月頃からは回復傾向にあったが、感染者の拡大が報じられた7月後半から動きは鈍化した。その中で、新型コロナの拡大とともに急速に注目を集めるテイクアウトやデリバリー向けの提案も活気づいた。

ただ、テイクアウトなど需要について「うちではそこまで伸びなかった」(大手食品メーカー担当者)との声もある。別の担当は「小規模店舗は特にそうで、そこまで取り組む余力はないのでは」と分析する。別の大手メーカーは「需要は着実に増えていて、そこ向けの提案を進めている」と話しており、状況は各社で大きく異なる。

外食チェーンでも、大手企業は取り組みを進めるものの、中小のチェーンでは難しいとの声もある。「特にデリバリーは自前で出来ないため、外部にお願いをすることになる。しかし、手数料などを考えると利益はほとんどない」と関係者は話す。そのため、デリバリーを行うメリットが薄い。

テイクアウトは温度差がある。前向きな所も少なくないが、専用のメニュー開発を行う余力のない企業もある。その中で、どのような策を打ち出せるかが、分水嶺になるのかもしれない。

〈冷食日報2020年9月18日付〉