ニチレイフーズ家庭用売上は好調10.6%増、コロナ特需で米飯・チキンや「極上ヒレかつ」が貢献/2020年度上期業績

ニチレイフーズ「極上ヒレかつ」
〈通期売上高は10%増で715億円、生活様式の変化に打ち手〉
ニチレイフーズの家庭用事業は2020年度上期(4~9月)の売上高が前年比10.6%の344億円と好調に推移した。コロナ禍における特需もあり、戦略カテゴリーの米飯・チキンが成長を続け、新商品でヒットが生まれた。下期も上期並みの成長を計画する。マーケティング投資を積極的に行い、新しい生活様式に適応した提案も展開していく方針だ。宮川浩幸家庭用事業部長に上期の概況と下期の方針を聞いた。
ニチレイフーズ・宮川浩幸家庭用事業部長

ニチレイフーズ・宮川浩幸家庭用事業部長

上期は外出自粛や外食店の営業自粛などで巣ごもりによる内食需要の高まりを受け、主力の米飯、チキンに加え、スナック類や春の新商品「極上ヒレかつ」の販売が好調だった。

米飯は「本格炒め炒飯」「五目炒飯」など炒飯類が2桁増。前年はテレビ放映(テレビ朝日「冷凍食品総選挙」)の効果もあり非常に高い伸びを記録していた。当上期はそれをさらに大幅に上回る実績を残した。

おかず類ではから揚げ類と肉カツ類がともに2桁増と伸長した。

から揚げは「特から」を中心に「若鶏たれづけから揚げ」などの主力品が伸長した。外出自粛に伴い揚げ物を家庭で作る機会も増えている一方で、買い物の頻度を減らす生活様式からストック型の冷食の需要も高まったと見られる。

肉カツ類では春の新商品「極上ヒレかつ」が牽引した。発売と同時にテレビCMを放映、店頭活動も並行して仕掛けた。コロナによる冷食需要拡大の追い風もあったが、「開発、プロモーション、営業が一体となり上期の売上げ貢献につながった」。

スナックも今川焼の好調によって、2桁増と伸長した。「外出自粛など環境の変化でおやつを家で食べるシーンが増えた」と見る。

〈弁当の活性化のため急遽テレビCM〉
弁当品はコロナ禍の影響を受け、市場自体が30%弱減少した。同社も春先は厳しく、市場同様に影響を受け、放置していては回復が望めないとの危機感から、夏休みの短縮による回復に備えて急遽、7月にテレビCM(深田恭子さんと鈴木亮平さんの2人を起用)を投入した。

8月は夏休みの短縮の影響もあり前年を上回り、10月にかけて前年を上回る状況となっている。宮川事業部長は「下期はお弁当商品市場も回復しており、当社もその一翼を担えたと考えている」と語る。

供給面では春先の需要急増に対して、一部商品の休売も行い主力品の安定供給に努めた。

〈「今までの延長では満足いただけない」〉
当通期売上高は前期比10%増の715億円を見込む。下期も上期並みの成長を維持する計画数値となる。

宮川事業部長は「徐々に落ち着きつつある市況観はあるが、市場の拡大は継続すると見ている。上期に新たに冷食を買っていただいた方や一時使わなくなっていたが再び買っていただいた方が一定層あり、東日本大震災の時と同様に、一定割合は定着すると見込んでいる。またテレワークの定着などで生活様式が変わる中、昼食の家庭での喫食率が20%ほど増えているという調査結果もある。そのような生活様式や食事の仕方に対して、冷食を提案する余地がある」と述べる。

秋の新商品は計画通りの配荷状況だという。今秋はコロナ禍において開発が進まずに発売を見送った商品もあったが、新商品を9品そろえた。冷凍調味料として「いろいろ使えるピリ辛肉そぼろ」といった新機軸の商品も発売した。

宮川事業部長は今後の商品開発に関して、「来春も新規需要を創造できる商品に挑戦していかなければならないと思う。コロナによる大きな環境変化に対して、今までの延長線上ではお客様に満足いただけないという実感がある」と述べている。(インタビューは11月16日に実施、その後11月18日に同社は冷凍料理キットを2021年1月1日に発売すると発表した)

プロモーションも積極的に行っている。テレビCMは8月末から9月にかけて「本格炒め炒飯」、10月に「極上ヒレかつ」、11月に「特から」と積極投入している状況だ。

〈冷食日報2020年11月24日付〉