山崎製パン「冷凍パンはおいしさ最優先」、冷凍ならではの機能も追求

山崎製パン 冷凍パン「ライ麦ロール」「塩バターパン」「プレーンベーグル」
山崎製パン(飯島延浩社長)の冷凍パン・冷凍パン生地事業は、販路の拡大により前年並みの水準に戻りつつあるものの、通期では前年未達となる見通しだ。ボリュームゾーンである自社業態のベーカリー(ヴィ・ド・フランス等)への出荷が、新型コロナウイルスの影響で減少した。

コロナの影響が大きかったのは4~5月の緊急事態宣言下だ。「自社業態のベーカリーをはじめ、色々な営業活動が制限されてしまい、落ち込み幅が一番大きかった」と振り返る。

その後、夏期に向けては前年並みまでは戻らないものの回復基調にあり、「もうひと踏ん張りで前期並みまで戻せる」ところまで来たが、コロナの感染再拡大によって、回復基調にブレーキがかかり、現状は「やや足踏み状態」だ。

「冷凍パン・冷凍パン生地を使っていただくチャンスは非常に多い」とし、引き続き「おいしさが最優先なのは変わらないが、冷凍ならではの機能性や利便性も追求していく」との考えだ。

その一つが、2018年頃から販売が拡大している、外食チェーンへの出荷だ。「常に半年後の商品の提案を進めている。コロナ禍でも忙しくさせていただいた」。

家庭用の焼成済み冷凍パン「Just Bread Time」は食事系を中心に「プチフランスパン」、「ライ麦ロール」、「塩バターパン」、「プレーンベーグル」、「チーズベーグル」、「ダブルベリーベーグル」、「ミルクパン」、「チョコパン」、「くるみパン」、「もちもちとしたマフィン」、「もちもちとしたマフィン チョコ」の11アイテムをラインナップ。「売り場での存在感を出すために、ヒット商品を生み出したい」と開発を続ける。

ボリュームゾーンのベーカリー向けの冷凍パン・冷凍パン生地については、「おいしさの追求が第一」とし、ベーカリーで手を加え、高単価でも販売できる商品作りの支援に軸足を置く。その上で、冷凍ならではの機能性を活かし、省力化やバラエティ化にも応える商品開発を進める。ルヴァン種の活用もさらに進めていく考えだ。

「コロナの影響でこれまで通りの開発や提案では上手くいかなくなっている。業態によって需要が戻ってくるところもあれば、当分は難しいところもある。ただ、冷凍パン・冷凍パン生地を利用していただくチャンスは非常に多く、コロナ前には多様なチャネルでの商談が進んでいた。ベーカリーを支える事業でもあり、色々な業態での『簡単』、『時短』に応える商品でもある。お取引先様、お客様のニーズが変化してきている中で、それらにお答えできる商品開発を継続していきたい」とした。

〈冷食日報2020年12月18日付〉