食品産業新聞は、冷凍食品を取り扱う食品卸を対象に2020年度の業績概況と次年度の見通しについてアンケート調査を行った。

集計結果を見ると、回答のあった企業のうち66%が冷凍食品の売上高(見込みを含む、以下同様)が減少するとした。比率としては前年の2倍に増えた。冷食の売上高が前年を上回るとしたのは29%だが、その大部分は家庭用を手掛ける事業者だ。中には20%以上の増収を記録する事業者もある。

次期予想においては、回答の77%が冷食の売上げが前年を上回る見込みとした。市場の変化に対応して、好調な業態へのシフトなどで、今期の落ち込みを取り戻す構えだが、コロナ収束への期待もにじむ。

冷凍食品取り扱い卸売事業者の動向アンケートは2021年1月下旬〜2月上旬にかけて実施した。

2020年度の総売上高について、有効回答36社のうち、増収となったのは9社で有効回答の25%。前年(46%)を大きく下回る結果となった。横ばいは6%(前年17%)となり、増収と合わせて前年実績をクリアしたのは31%(前年63%)となった。減収は69%と前年(37%)から大幅に悪化した。

前年割れの増加は2年前から加速している。自然災害が多発したことが主因だが、当期はコロナがこれまでとは次元の異なる打撃を与えた。

冷凍食品の売上高に焦点を絞ると、増収となった企業は29%で前年(50%)より21ポイント減少した。一方で前年割れは66%で、悪化が見られた前年(33%)と比べても、コロナによるダメージの大きさがわかる。

冷食伸長率が最も高かったのは松村フーズ(群馬)で24%増。家庭用が98%を占める。量販店向け販売が好調で、米飯・パスタの販売が拡大した。ナックス(東京)も21%増と伸長した。家庭用が59%を占め、量販店や生協向けが好調だった。

独自の展開をしているジョイ・ダイニング・プロダクツ(埼玉)も16%増と伸長。生協ルートが好調だった。

業務用卸は全般的に苦戦しているが、桑宗(広島)は冷食を13%増と伸ばした。業務用卸の中でも、外食の比率が3〜4割以上の事業者に2桁以上の減収が目立った。大光も外食比率が高いが、5月決算のため他社とは数値へのあらわれ方が異なっている。

冷食の販売利益を見ると「増益」となったは有効回答35社のうち23%(前年33%)。「減益」は63%で、前年(26%)から大きく後退した。利益率で見ると「上昇」は17%で前年(19%)から減少。「低下」は34%で前年(24%)から10ポイント悪化した。

〈2021年度の業績予想は増収見込みは77%〉
各社の2021年度の業績予想としては、総売上高では有効回答29社中「4〜6%増」と「7%以上」がともに28%を占めて最多。「1〜3%増」も21%だった。今期の落ち込みを取り戻す意欲があらわれている。

冷食売上高に絞ると「1〜3%増」と「7%以上」がともに27%で最多。次いで「4〜6%増」が23%となった。以上から冷食の増収見込みは77%となる。

一方で今期の家庭用の特需の反動から、次期の減収を見込む事業者もある。

〈2021年度について「冷食市場は拡大」の回答が53%〉
アンケートでは冷食業界の2021年度成長予想と課題についても聞いた。

成長予想では有効回答30社の53%が前年を上回ると回答した。「1〜4%増」が最も多く37%(前回71%)。ただしその多くが、コロナ次第との前提を付けている。「5%以上」は17%で、引き続き家庭用の伸長を見込む意見が目立った。

一方で家庭用では前年の反動減を、業務用ではコロナ禍が長引くとして、需要低迷やユーザーの経営悪化に伴いディスカウントが進む懸念が指摘されている。

業界の課題について自由回答を見ると、「相変わらず、納品時間の時間指定、小口、バラ納品、段ボールなどのゴミ回収問題がある。2021年6月からのHACCP義務化により、改善されることを望むが、業界が一丸となり何らかのアクションを起こさないといつまでたっても解決しない」「食シーン多様化への対応(テイクアウト)内食向け商材の充実」「行き過ぎた価格競争」「同業縦割りの非効率物流」「業界でオンラインシステムの企業統一を希望(現在はメーカーによりバラバラ)」などが挙がった。

〈冷食日報2021年3月10日付〉