クオリアース 有名店の料理を冷凍で提供、取り寄せ需要の増加に期待〈外食の冷凍への取り組みは〉

クオリアース「主食スープシリーズ」
特殊な凍結技術によって解凍時のドリップを抑え、飲食店で提供している味とそん色ない冷凍商品を販売するクオリアース。予約困難な名店などとコラボした「匠シリーズ」と、「主食スープシリーズ」を展開している。日本で高付加価値品の市場はまだ小さいものの、コロナ禍での行動変容などで需要はあると見込む。商品企画やマーケティングなどを手掛ける、取締役の鈴木カオル氏に聞いた。

――会社の立ち上げが2020年6月です。事業を開始したきっかけは。

高付加価値型の冷凍食品は日本のマーケットには少ないため、そこを実現したいというところでスタートしました。商品は、「プロトン凍結」という凍結技術を活用した冷凍食ブランド「冷凍良食」を展開しています。日本料理「たかむら」の商品に加え、冷凍良食のオリジナル商品「主食スープシリーズ」や、ミシュラン一つ星を獲得した大阪北新地のレストラン「HATSU」の中華丼などを販売しています。ラインアップがまだ少ないため、今は高単価の商品が目立っているかと思いますが、幅広く楽しんでいただける商品を充実させたいと考えています。

商品はシェフが実際に食べてオーケーを出さなければ販売していません。今回協力いただけた飲食店や、今後登場予定のものでは、店で食べるだけでない体験の構築を考えています。ベースは美味しさだと考えております。また、店舗それぞれにブランドの世界観があるので、それを守りながら、一緒に作っていきたいです。

――販売状況はいかがですか。

立ち上がりは順調です。シェフや、店のファンの方が購入してくれました。また、WEBメディアやテレビなどでも紹介していただき、広がりました。今は10ブランドと新しいアイテムについて話を進めています。試作品を作る過程で問題が無ければ順次スタートできればと思います。流動ですが月に1〜2アイテムを新たに紹介できればと考えています。

――冷凍食品の市場をどう見ていますか。

冷凍食品そのものの市場は非常に大きく、その中で中心になる商品は、今後も手に取りやすい価格帯がメインになると思います。日常生活ではそのほうが良い。一方で、中・高価格帯の商品も出てきて、商品数も着実に増えています。有名飲食店が冷凍食品の販売に踏み切るケースもあります。

デパートの方とお話することもあります。その中で、デパートの通販サイトやコロナが落ち着けば催事に出店して欲しいなどのお話を頂きます。また、富裕層向けの優待などの引き合いもありました。

マーケットサイドとしては、新型コロナウイルスの影響で外出しにくい状態が続いているため、取り寄せの需要はあると思います。

食というのは、多くの方にとって日常であり、非日常の体験でもあります。そこにまつわるプレーヤーは飲食関連の企業だけではなくなっていると感じます。

――今後の取り組みは。

春以降は商品数の拡大を進めます。スイーツなども販売し、バリエーションを広げて楽しんでいただければと思います。ネット以外でも購入できるチャネルの拡大も検討したいです。また、SNSでも情報発信を行っており継続して取り組んでいきます。

私たちは冷凍食品自体をデリバリーの方法の一つと捉えています。消費者の方も、時間と空間を超えてさまざまな料理を味わえるようになりました。この方法を活用して、どういったのものを食べられるかを伝えていければと思います。目新しいジャンルですが、スタートしてから認知は徐々に広がりつつあると感じます。ぜひ、試してもらえたと思います。

〈冷食日報2021年4月6日付〉