日本水産の次期社長就任が内定している浜田晋吾代表取締役専務執行役員が4月13日、オンラインで記者会見し、就任にあたっての抱負や方針などについて話した。グループを新たな成長軌道に乗せるため、4つのキーとなる取組みを挙げた。中でも、生産性向上や人財育成には優先的に取組むという。

日本水産の業績は2013年度以降、特に利益面で順調に成長してきたが、2020年度はまだ決算発表前ながら、コロナ禍の影響で踊り場局面となりそうだ。

浜田専務は社長就任あたっての抱負として「グループを“新たな成長軌道”に乗せたい。そのために、フロンティアスピリットを鍛え、モノ作りの技を磨き上げる。財務目標の達成に加え、社会から信頼される価値あるグループを目指してさまざまなチャレンジをしていきたい」と話した。

その“新たな成長軌道”に乗るためのキーとなる取組みとして次の4つを挙げた。

1つ目は「『垣根』を超える」こと。現在、水産事業・食品事業・ファインケミカル(FC)事業と3つの柱となる事業があるが、特にその3つが重なり合う部分を強化する構えだ。また、水産/食品、家庭用/業務用、チルド/食品・水産、加工品/常温といった垣根を超えた取組みを意識する。

浜田専務は「未着手・未開拓の領域や市場、事業や事業部の垣根を飛び越えた商品や戦略等が必要。売れるものを、売れる場所にどのように売っていくのか、既存ルールの見直しが必要ならば躊躇なくトライしたい」「キャッシュ&キャリー、業務用スーパーと量販店、量販店の中でも水産売場と食品売場といった垣根がなくなりつつある。消費者の側から見れば、“食”をどこで買っても良いものを安く買えればいい。消費者目線からの変革が必要」など話した。

2つ目は「生産性を向上させる」こと。その実現のため、AIやIoTを活用し、DXの展開を本格化させる。既に営業、養殖、生産ではDX展開を進めており、特に間接部門など、すべての部署で定型業務の自動化を進めるほか、未来型生産ライン・設備・関連技術の開発も取組む。

3つ目は「新規事業や新しい仕組み導入の取組みを具体的に進める」こと。浜田専務は「今までと同じレール上の取組みだけでは大きな飛躍は困難。新機軸や既存事業の深化と変革、従来の慣習や仕組みを良い方向に変えることが必須」と話す。

より具体的には、2021年3月1日付で新規事業戦略の策定および新規事業開発を目的に、社長直轄の「事業開発部」を新設。少人数で若手を抜擢した組織で、事業の「種」を具体的に推進。また、若手社員の教育もミッションの1つで、短期間で人員入れ替えを行い、社内に新規事業を生み出す「アントレプレナー」の風土創出を目指すという。

また、既に前年度にいくつか新商品を送り出したR&Dにおける「デザイン思考」手法の定着を目指し、人間起点の商品開発を深耕する。

そして4つ目は「人財育成の教育プランやキャリアパスを再構築する」こと。浜田専務は「人財こそすべて。女性活躍、海外人財だけでなく、従業員1人ひとりの能力アップとその最大発揮の実現が必須。縦割り組織の課題も含めて全社的な考え方をまとめたい」「現在も人財育成でのルールは当然持っているが、どういうキャリアパスを通りどう育てるか、必ずしも明確ではなく、それをきちんとしたい」など話す。

また、女性管理職の育成については、2021年1月、女性役員30%を目指す「30%Club Japan」に参加。ただ、浜田専務は「女性社外取締役を増やすという形だけでの目標達成は無意味。時間をかけてでも女性がさらに活躍できる仕組みを作り、女性管理職比率を高め、社内から女性役員を選出できるようにしたい」という。

浜田専務は、これら4つの取組みはいずれも時間がかかるとしながら、特に間接部門の生産性向上と、人財育成面は優先的に取組むとした。

これらに加えて、CSRでは、社長を委員長とするCSR委員会でマテリアリティ・テーマ別に役員が責任者を務め、各テーマを推進。コロナ禍で加速する新しい働き方にも積極的に取組み、3月からは本社でフリーアドレスを開始。今後もサテライトオフィス活用など進め、多様な人財が能力を発揮できる企業風土作りを目指す。

〈冷食日報2021年4月15日付〉